観るサル 聞くサル 言うサル

最近観た映画や本についてのブログです。「観るサル」(映画館篇)では映画館で観た映画「観るサル」(家篇)ではテレビやDVDなどで観た映画「読むサル」では本について綴っていきます。
「メリー・ポピンズ リターンズ」観るサル(映画館篇)

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「メリー・ポピンズ リターンズ」監督:ロブ・マーシャル 出演:エミリー・ブラント

 

 大恐慌時代のロンドン、1年前に3人の子供達を残して妻が亡くなり、今度は借金のかたに思い出の詰まった家まで失いかけているマイケル・バンクスの前に、幼い頃に世話してくれた不思議な教育係メリー・ポピンズが昔と変わらぬ姿で現れて・・・。童話と映画「メリー・ポピンズ」の20年後を描いた物語。

 きっと現代の技術もたっぷりと使われているのだと思うけれど、それを感じさせないクラシカルな作りで、やっぱり昔ながらのミュージカルらしいミュージカルは良いなあ、という気分になった。

 ファンタジックなことが次々と起こるのだけど、それがただただ楽しい魔法として描かれるのではなく、気持ちが沈んでしまうこともある毎日だからこそ楽しいことをしようとか、嫌なことも見方を変えれば違って見えるかもしれないとか、これは魔法ではなく子供の想像力なのだとか、苦しい時を乗り切っていくための知恵としてのファンタジーという感じの描き方がなかなか。

 もちろん、不可能なことでも可能にしてしまうメリー・ポピンズの特別さも魅力だけれど。

 時代が変わって煙突掃除人の代わりに登場する、街灯の灯火人達の活躍が楽しい。

| 観るサル(映画館篇) | 18:50 | comments(0) | -
「この世の春 上・下」読むサル

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「この世の春 上・下」宮部みゆき(新潮社)

 

 乱心して強制的に隠居させられ、藩主の別邸・五香苑に作られた座敷牢のような部屋で暮らすことになった北見藩の六代目藩主・重興。五香苑で重興に仕える人々が、重興の心を蝕むものの正体に迫っていく物語。

 前半のお家騒動みたいな部分はややこしくて入っていきにくいのだけど、物語の背景の説明が終わり、登場人物達の心の変化が中心になって物語が動き出してからは、グイグイと一気に読めた。

 重興の中から現れる幼い少年や怪しげな女は、皆殺しにされたある一族の霊が取り憑いたものなのか、それとも重興が自分の心を守るために自ら生み出したものなのか、怪異を怪異として片付けず論理的に読み解く現代的な視点があるところが新鮮で面白い。

 時代劇版サイコスリラーという感じか。

 明かされる真実は気分の良いものではないけれど、謎を追う人々の心や絆が真っ直ぐで温かなことに救われ、後味は爽やかだった。

| 読むサル | 16:31 | comments(0) | -
「ヴィクトリア女王 最期の秘密」観るサル(映画館篇)

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「ヴィクトリア女王 最期の秘密」監督:スティーヴン・フリアーズ 出演:ジュディ・デンチ

 

 1887年、格式ばった人々とスケジュールの詰まった毎日にうんざりしていたヴィクトリア女王が、背が高いという理由で記念金貨の贈呈役に選ばれてインドからやってきた青年アブドゥルと出会い、様々な事を教わりながら深い絆で結ばれていく、実話を基にした物語。

 自由の無い日々を送る女王が、うんざりした気分を隠しもせず、会食中にいびきをかいて寝たり、黙々と料理を平らげてさっさと終わらせようとしたりする姿が面白い。

 無作法に振る舞っていてもどこか威厳を感じさせる、ジュディ・デンチの演技がさすが。

 アブドゥルと出会ってからの女王は一転して恋する乙女のような活き活きとしたチャーミングな姿を見せるのだけど、一国の女王が偏見無く新しい文化を受け入れ学ぶ様子を素敵だと感じる一方で、そういう立場の人間が一人の人間に深い思い入れを持ってしまうことの危うさにハラハラさせられる。

 アブドゥルを重用する女王と周りの人々のぶつかり合いは、コミカルに描かれるので結構笑えるけれど、女王とアブドゥルの間に立場や文化を越えて結ばれた尊い絆が、周りの人々を変える力をほとんど持たなかったということは、やっぱり少し哀しいことだな、と思った。

| 観るサル(映画館篇) | 16:31 | comments(0) | -
「森の家」読むサル

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「森の家」千早茜(講談社)

 

 派遣で働きながらフラフラと暮らしていたみりは、年上の恋人・佐藤さんに誘われて佐藤さんが20歳の息子・まりも君と暮らす家に転がり込むが、ある日突然、佐藤さんが姿を消してしまい・・・。一回りずつ年の離れた3人の、不器用な繋がりの物語。

 感情が表に出過ぎるりみと、淡々とし過ぎているまりも君と、そつがなさすぎる佐藤さん。

 それぞれに人との距離感に問題を抱えているけれど、人とあまり深く関わりたくないという考えは共通していたため不安定だけどそれなりに居心地の良い生活を送れていた3人の関係が、佐藤さんの失踪によって崩れた時、人とあまり深く関わりたくないという気持ちの影に隠れていた人を求める寂しさと向き合い、再び繋がるために奮闘するりみの姿や、葛藤しながらも少しずつ変わっていくまりも君の姿が良かった。

 3人それぞれの視点で描かれるのだけど、まりも君の視点で描かれた章が、みりも佐藤さんも一番魅力的に描かれていて好きだった。

| 読むサル | 18:55 | comments(0) | -
「ゴールデンスランバー」観るサル(映画館篇)

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「ゴールデンスランバー」監督:ノ・ドンソク 出演:カン・ドンウォン ハン・ヒョジュ

 

 強盗に襲われたアイドルを助けたことから有名人になってしまった平凡な宅配ドライバーのゴヌが、大統領候補暗殺犯に仕立て上げられたうえに命を狙われ決死の逃亡を繰り広げる、日本でも映画化された伊坂幸太郎の同名小説の映画化。

 失礼ながら暗殺や整形などについては韓国の方がリアリティを持って描けそうな気がしたので原作や日本版よりもリアルでシリアスな感じなるのかなとは思っていたのだけど、思った以上に内容が変わっていて伝わってくるものも違ったので、別物として楽しめばいいとは思いながらも、違和感をぬぐえなかった。

 お人好しであるために権力に嵌められた青年が、かつての友人達や職場の先輩など実際の彼を知っていて信頼してくれる人達の小さな手助けの積み重ねによって逃げ延びていくというのが原作のグッとくるところだったのだけど、今作では組織に裏切られた元組織の男がゴヌの相棒となり、ほとんど彼の手助けによって逃亡していくため、権力VS庶民というような面白さや気持ち良さはあまり感じられず、ゴヌの他人を疑わないお人好しさが揺らいでしまうシーンまであって、うーん、と思ってしまった。

 まあゴヌのお人好しっぷりは、後半で思いっきり発揮されるのだけれど・・・。

 アイドルを助けたことが原作とは違った形で活かされるラストは、鮮やかで面白かった。

| 観るサル(映画館篇) | 17:41 | comments(0) | -
「凛の弦音」読むサル

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「凛の弦音」我孫子武丸(光文社)

 

 弓道に熱中する高校1年生の篠崎凛が、様々な事件に巻き込まれながら成長していく物語。

 弓道場で起こる事件の謎を弓道の知識で解いていくという、謎解きと同時に知らなかった弓道の知識を知ることが出来る面白さや、謎と向き合うことで少しずつ何かを得て成長していく凛の姿の爽やかさなど、幾つかの要素がしっかりと噛み合って影響しあっているところが良かった。

 凛の推理力と弓道に打ち込む姿に魅せられ、彼女の映画を撮りたいと奮闘する中田先輩の、映画と凛にかける情熱も楽しい。

 様々な意見や考えに耳を傾けることができる凛の素直さが新鮮で魅力的な、真っ直ぐで清々しい青春小説。

| 読むサル | 19:01 | comments(0) | -
「夜明け」観るサル(映画館篇)

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「夜明け」監督:広瀬奈々子 出演:柳楽優弥 小林薫 堀内敬子

 

 木工所を営む哲郎は、川で倒れていたシンイチと名乗る青年を連れ帰り、面倒を見るが・・・。息子に対する後悔を抱えて生きる哲郎と、行き場を失くしたシンイチが、疑似父子のようになっていく物語。

 最初は、もの言いたげに突っ立っているくせに何を聞かれてもハッキリと答えないシンイチにイライラさせられ、哲郎はどうしてこんな得体の知れない青年を受け入れ庇うのだろうと違和感を感じ、優しい人ばっかりの映画だなと思ったのだけど、哲郎の亡き息子の名が真一だと知って変わっていくシンイチの姿に、人は優しい人達に囲まれていたら変われるものなのかもしれない、という気持ちになった。

 ところが後半、シンイチの秘密が明かされていくにつれ、哲郎の優しさにがんじがらめにされていくシンイチの姿に、前半とは違った違和感を哲郎に対して感じるようになってくる。

 シンイチに執着する哲郎の姿や、あるシーンで掌を返したような評価をシンイチに対して下す周りの人々の姿に、無条件で他人に優しくしたり、自分が知っている姿だけで人を信用したりするのは難しいことなのかもしれないと、苦い気持ちになった。

 楽しい話ではないけれど、疑似家族ものというと感動的だったり心温まる話になりがちなところを揺さぶりをかけて考えさせる作風は新鮮で、観客に委ねたラストに私は希望を感じた。

| 観るサル(映画館篇) | 17:55 | comments(0) | -
「パディントン2」観るサル(家篇)

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「パディントン2」監督:ポール・キング 出演:ヒュー・ボネヴィル サリー・ホーキンス

 

 ロンドンに住むブラウン家の一員となったクマのパディントンが、ジャングル時代にお世話になった小母さんの誕生日に古道具屋で見つけたポップアップ絵本をプレゼントしようと資金集めに奮闘するが、絵本が盗まれてしまった上に犯人の濡れ衣を着せられてしまい・・・。童話「パディントン」の実写映画化第2弾。

 ジャングルのエピソードから始まって、現在のパディントンが朝身支度を整えて古道具屋に向かうまでをブラウン一家と町の人々の紹介を織り交ぜて流れるように描くオープニングから、物語の世界に一気に引き込まれる。

 ポップアップ絵本の中のロンドンをパディントンが小母さんを案内して回るシーンの素敵さにうっとりしたり、刑務所に入れられたパディントンが、その礼儀正しさと人(クマ)の良さと美味しいマーマレードで刑務所を変えていく様子にほのぼのしたり、とことん洒落ていてハッピーなエンターテインメント。

 前作は悪役との決着のつけ方に引っかかるところもあったけれど、今作は悪役の行く末もチャーミングに描かれていて、エンドロールまで楽しめた。

 悪役ヒュー・グラントの吹っ切れた怪演も見もの。

| 観るサル(家篇) | 17:40 | comments(0) | -
「マチルド、翼を広げ」観るサル(映画館篇)

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「マチルド、翼を広げ」監督:ノエミ・ルヴォウスキー 出演:リュス・ロドリゲス

 

 情緒不安定な母親と2人で暮らすマチルドは、友達もなく一人ぼっちで突拍子もない行動ばかりとってしまう母親に振り回されていたが、ある日、母親からプレゼントされたフクロウがマチルドだけに話しかけてきて・・・。ノエミ監督が自身の子供時代を基に描く、母に捧げた物語。

 ヒョコヒョコと動き回りながらマチルドを見守り、助け、真実を投げかけてマチルドの心を解放しようとする小さなフクロウの姿は魅力的で楽しいのだけど、物語の方はかなり重いので、前半の母親とは関係のない学校のガイコツを巡るエピソードの優しさに救われる。

 母に対する堪えてきたものをついに爆発させてしまったマチルドが、翌日、母を責め(攻め)ながら自らも痛めつけるように行う命令ゲームのシーンが、見ていて胸が痛く、切なかった。

 ラストはいきなり時間が飛ぶのでちょっと戸惑うけれど、詩的な和解と希望の表現は美しく、ウルっときた。

| 観るサル(映画館篇) | 18:06 | comments(0) | -
「デトロイト」観るサル(家篇)

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「デトロイト」監督:キャスリン・ビグロー 出演:ジョン・ボイエガ ウィル・ポールター

 

 1967年、アメリカ中北部の都市デトロイトで起こった暴動の最中に、モーテルにいた無実の黒人青年達が警察官に射殺された事件を描く、実話を基にした物語。

 事件が起こるまでの流れを見ていると、“何でそんな事をしてしまうのだろう”“そんな事しなければいいのに”と思う瞬間が何度もあり、積もり積もった怒りや不満によって起こした様々な人達の浅はかな行動が、積み重なってドミノ倒しのように悲劇へとつながっていく様子に、恐さと苦さを感じた。

 歌手としての夢を掴みかけていた青年ラリーの事件後に選んだ生き方がとても印象的で、考えさせられる。

| 観るサル(家篇) | 18:58 | comments(0) | -
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