観るサル 聞くサル 言うサル

最近観た映画や本についてのブログです。「観るサル」(映画館篇)では映画館で観た映画「観るサル」(家篇)ではテレビやDVDなどで観た映画「読むサル」では本について綴っていきます。
「か「」く「」し「」ご「」と「」読むサル

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「か「」く「」し「」ご「」と「」住野よる(新潮社)

 

 他人の感情が見える特殊能力を持つ高校生男女5人の、恋と友情の物語。

 それぞれが特殊能力を持っているのは自分だけだと思っていて、他人の感情が見えてしまうために不安になったり、お節介を焼こうとしてしまったりするのだけど、自分が想いを寄せたり想いを寄せられたりしている肝心の相手の気持ちには気付かなかったり読み間違えたりしてしまっていて、他人の感情が分かるはずの5人の関係がすれ違いまくってジタバタしているところが微笑ましい。

 他人の感情を読むよりも自分が心を開いた方が上手く通じ合えたりして、SF的な設定がありながら、結局普通の可愛らしい青春ラブストーリーになっているところが面白かった。

 それぞれの他人の感情の見え方が、漫画チックだけどユニークで楽しい。

| 読むサル | 18:58 | comments(0) | -
「カンパニー」読むサル

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「カンパニー」伊吹有喜(新潮社)

 

 製薬会社・有明F&Pが主催するバレエの公演を成功させるため敷島バレエ団に出向させられた元総務部の青柳と、その公演に客演する人気バレエダンサー・高野のケアをするよう命じられた健康増進部に所属するトレーナーの瀬川が、小さなバレエ団の人々と共に公演を作り上げていく物語。

 リストラ寸前で妻にも出て行かれた青柳と、担当していたマラソン選手に突然引退されてしまった瀬川という、自信を奪われ居場所も失くしてしまった2人が、自分の状況を立て直すためにこのプロジェクトに懸けるというような態度ではなく、ただ目の前の仕事に一所懸命に向き合うという、不器用で誠実な姿勢で行動しているところが気持ち良く、その地味で真面目な人柄が受け入れられ、報われる話であることにホッとする。

 公演が成功してめでたしめでたし、というような分かりやすい展開ではないので、最後までハラハラさせられるけれど、明るい希望を散りばめつつ、皆までは描かない奥ゆかしいラストが良かった。

| 読むサル | 15:55 | comments(0) | -
「女たちのテロル」読むサル

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「女たちのテロル」ブレイディみかこ(岩波書店)

 

 過酷な境遇で育ち国と対決した金子文子、イングランド女性参政権運動に参加し過激な活動をしたエミリー・デイヴィソン、アイルランド独立を求めるイースター蜂起でスナイパーとして活躍したマーガレット・スキニダー。今よりももっと女性に自由が無かった時代に、自分の信念を貫いて闘って生きた女性達を描く、伝記エッセー。

 自分らしく生きるためなら命も惜しまない、という感じの生き方に圧倒されたり、自分の中の闘争心まで掻き立てられるような気分になったりしつつ、そのあまりの激しさに胸が痛くなったりもした。

 100年くらい前の人達の話なのだけど、現代的な感覚、さらにロックというかパンクな感覚で彼女達の行動や心境が読み解かれているため、遠い過去の人達の話ではなく、もっと生々しく、近い存在の話に感じられた。

 面白く現代語訳された古典を読んでいるようでもある。

| 読むサル | 16:21 | comments(0) | -
「デカメロン2020」読むサル(番外編)

「デカメロン2020」

hojosha.co.jp/free/decameron2020

 

方丈社のホームページで読めるエッセイストの内田洋子さんが立ち上げたプロジェクトで、コロナウイルスで非常事態宣言が発動されたイタリアで暮らす若者達が現在の日常を綴る、1348年のペストの蔓延から逃れた若い男女が10日間語り尽くす古典「デカメロン」のリアル現代版。

 日々更新されて文章の量も多いので、斜め読みになってしまってあまりじっくりとは読めていないのだけど、それでも面白い。

 小説を読んでいるような面白さを感じる一方で、明日は我が身かもしれないとも思うのだけど、自由が厳しく制限された日々の中で、色々な事を感じたり考えたりしながら、それぞれのやり方で非日常の日常を過ごしていく若者達の姿に、海の向こうの人々も頑張っているのだと励まされるというか、読んでいてちょっぴり元気が湧いてくる。

 制限された日々を楽しむヒントももらえそう。

| 読むサル | 16:33 | comments(0) | -
「愛と銃弾」観るサル(家篇)

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「愛と銃弾」監督:アントニオ・マネッティ マルコ・マネッティ 出演:ジャンパオロ・モレッリ

 

 自分の死を偽装して身を隠そうとしていたマフィアのボスを目撃してしまった看護師と、その看護師を見つけ出して殺すよう命じられた殺し屋、という立場で再会してしまったかつての恋人同士ファティマとチーロが、愛のためにマフィアを敵に回して逃亡する物語。

 マフィアの抗争が絡んだラブストーリーなのだけど、それがミュージカル仕立て、しかもかなりふざけたミュージカル仕立てになっていて、マフィアのボスの身代わりに殺された男が棺桶の中で不条理を嘆いて歌ったり、愛を歌うファティマのバックで患者達が踊りまくったり、ミュージカルシーンになる度にプッと吹き出したり苦笑したりしてしまう。

 男社会の話のようでいて、彼らを動かす計画を企てたのが実は女性達だったりするところもユニーク。

 緊迫した状況なのに何だかゆるいヘンテコな作品だけど、ラストはスカッとまとめてみせる、痛快な珍作だった。

| 観るサル(家篇) | 17:34 | comments(0) | -
「ファントム・スレッド」観るサル(家篇)

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「ファントム・スレッド」監督:ポール・トーマス・アンダーソン 出演:ダニエル・デイ=ルイス

 

 オートクチュールの仕立て屋・レイノルズが、自分にとって完璧な体形を持つウエイトレスのアルマに一目惚れして互いに惹かれ合うが、価値観の違いからぶつかり合っていくことになる物語。

 自分の美意識に従ってコントロールされている生活を乱されることが我慢できないレイノルズと、自分の存在を認めて欲しいアルマが同じ空間で暮らし始めたことで、どちらが自分らしい自分のままで生きるかという主導権争いというか、ささやかな力比べの小競り合いが繰り広げられる日々となっていく。

 そんな2人を見ているうちに、そもそも2人の間に愛はあったのだろうか、惹かれ合ったのは愛とは別の理由だったのではないかと思えてくるのだけど、そんな疑いをひっくり返すラストにびっくり。

 愛って訳が分からなくて面白い、と思った。

| 観るサル(家篇) | 17:46 | comments(0) | -
「アーモンド」読むサル

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「アーモンド」ソン・ウォンピョン 訳:矢島暁子(祥伝社)

 

 祖母と母が目の前で通り魔に襲われていても無表情に眺めているだけだった失感情症の少年・ユンジェが、過酷な人生を送ってきた不良少年・ゴニと出会ったことから少しずつ変わっていく物語。

 ユンジェを「かわいい怪物」と呼んで可愛がってくれた豪胆な祖母は亡くなり、ユンジェが普通に振る舞えるようになるよう必死に教えた母は目覚める見込みのない昏睡状態に陥り、これからユンジェはどんな厳しい生活を送っていくことになるのか、どんな重い物語が続いていくのかと身構えていたら、恐怖や不安を感じることが無いユンジェは母が営んでいた古本屋を続けながら意外に淡々と普通の生活を送り始め、おや?と思った。

 そして、奇妙な因縁で結ばれたゴニとの出会い。

 感情が激し過ぎるゴニと感情の無いユンジェという正反対の2人が、普通ならぶつかり合いながら成長していきそうなところを、ぶつかり合えないからこそ相手のことを理解したいと思い、試行錯誤しながら互いに向き合っていく様子がユニークで、とても面白かった。

 ユンジェの保護者代わり兼相談相手となる、少し風変わりで柔軟なシム博士も魅力的。

| 読むサル | 17:55 | comments(0) | -
「肉弾」読むサル

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「肉弾」河崎秋子(KADOKAWA)

 

 父に連れられて猟をするため北海道にやってきた引きこもりの青年・キミヤが、熊に襲われて父を失い、一人取り残された山で野犬達や熊と命をぶつけ合っていく物語。

 父と息子の物語から始まって、宿のオーナーが語る開拓のエピソードが挟まり、人間に傷付けられ山に辿り着いた野犬達と人間が自然の流れを壊したために狂った熊の戦いへと繋がっていく、次々と表情を変えながらシンプルかつ壮絶な世界へと突き進んでいくドラマに、グイグイと引き込まれる。

 燻って生きる日々を送ってきたキミヤが極限状態の中で生きる力を目覚めさせ、むき出しの一つの命として野犬達と渡り合い熊に立ち向かっていく姿に、読んでいるこちらの血まで熱くなってくるような気迫というか迫力を感じた。

| 読むサル | 17:45 | comments(0) | -
「Red」観るサル(映画館篇)

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「Red」監督:三島有有起子 出演:夏帆 妻夫木聡 柄本佑 間宮祥太朗

 

 恵まれた生活を送る専業主婦の塔子が、10年前に愛していた建築家の鞍田と再会し、彼が所属する設計事務所で働き始めて再び恋に落ちていく、島本理生の同名小説の映画化。

 ラブストーリーとしてではなく女性の生き方を描いた作品として、塔子の感情に引き込まれた。

 恵まれていることを幸せだと自分に思い込ませて感情に蓋をしてきた塔子が、外に出て働き始めて解放されていく。

 前半と中盤以降では塔子の印象がかなり違うのだけど、彼女を変えたのは恋よりも、妻や母ではない個に戻る時間を得たことなのではないかと感じた。

 だから活き活きとした塔子の姿を見ていると、彼女は変わったのではなく本来こういう人だったのだろうなという感じがする。

 塔子にちょっかいを出しつつ鞍田との関係を飄々と見守る、軽薄そうに見えて人の心を見抜く鋭さを持つ設計事務所の同僚・小鷹が、とらえどころのない怖さもありつつ魅力的だった。

 

| 観るサル(映画館篇) | 14:59 | comments(0) | -
「影裏」観るサル(映画館篇)

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「影裏」監督:大友啓史 出演:綾野剛 松田龍平 筒井真理子 中村倫也

 

 岩手に転勤してきた今野が同い年の同僚・日浅と親しくなるが、突然会社を辞めたのち震災で行方不明になった彼の消息を訪ねて回るうち、日浅の影の部分を知っていくことになる、沼田真祐の同名小説の映画化。

 酒を飲んだり釣りをしたり、一緒に過ごす時間は増えていったけれど、2人は本当に親しくなっていたのだろうか。

 突然現れては今野を振り回す日浅に災いをもたらす悪魔のような不穏さが感じられ、今野が日浅に抱く感情と絡み合い、楽しく過ごしているはずの時間にもピリピリとした緊張感が漂っているのが感じられた。

 影と言っても特に大きな事件が起こるわけでもなく、どちらかと言えばほとんど何も起こらない話なのだけど、警報音のようにも感じられる音楽のせいもあって、観ている間ずっと不安で落ち着かない気持ちにさせられる作品だった。

 時折挟まれる自然の風景がとても美しく、ハッとさせられる。

| 観るサル(映画館篇) | 17:54 | comments(0) | -
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