観るサル 聞くサル 言うサル

最近観た映画や本についてのブログです。「観るサル」(映画館篇)では映画館で観た映画「観るサル」(家篇)ではテレビやDVDなどで観た映画「読むサル」では本について綴っていきます。
「エンジェル、見えない恋人」観るサル(映画館篇)

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「エンジェル、見えない恋人」監督:ハリー・クレフェン 出演:フルール・ジフリエ

 

 透明な姿に生まれ隠されて育った少年エンジェルが、盲目の少女マドレーヌと出会い、恋に落ちる物語。

 周りから見えないために母親以外から存在を認識してもらえないエンジェルが、見ることのできないマドレーヌにとってだけは普通に存在しているというところがユニークで、ロマンチックでもある。

 エンジェルの視点がメインになっている映像も、見ている彼が確かに存在していることと、彼と関わる人間が母とマドレーヌしかいないこと、そしてそれでも彼の世界が愛に満たされキラキラと輝いていることを感じさせて良い。

 エンジェルの姿を知らないマドレーヌは彼の姿が見たくて目の手術を受けてしまうのだけど、切ない状況を乗り越えられる彼女の愛の強さとシャレたラストに、爽快で痛快な気分になった。

| 観るサル(映画館篇) | 19:19 | comments(0) | -
「閃光少女」観るサル(映画館篇)

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「閃光少女」監督:ワン・ラン 出演:シュイ・ルー ポン・ユィチャン 

 

 芸術学院の伝統音楽部に通う落ちこぼれのジンが、一目惚れした西洋音楽部のワン先輩がバカにした伝統楽器の魅力をアピールするため、いつもつるんでいるサエない同級生ヨウと、周りから避けられているコスプレ4人組をメンバーに、伝統楽器のグループを結成するが・・・。

 マンガチックでどこか懐かしい、とことん学園ラブコメディといった雰囲気のノリがキュートで楽しい。

 眼鏡をはずしたら実は美少女ならぬ、眼鏡をはずしたら実はイケメンというヨウの設定の使いどころに笑った。

 その個性ゆえにはみ出し者の落ちこぼれ扱いされているコスプレ4人組が、実は知識的にも技術的にも高いレベルの持ち主という単なる落ちこぼれの逆襲とは違う捻った設定が面白く、西洋音楽部とのバトルなど様々な演奏シーンでは、迫力のある演奏に観ているこちらも伝統楽器の魅力に惹き込まれた。

 西洋音楽部を敵のままでは終わらせない爽快なクライマックスも良い。

| 観るサル(映画館篇) | 18:52 | comments(0) | -
「彼方の友へ」読むサル

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「彼方の友へ」伊吹有喜(実業之日本社)

 

 昭和12年、父が失踪して以来経済的に苦しい生活を送っていた16歳の波津子が、ひょんなことから憧れの少女雑誌「乙女の友」の編集部で主筆・有賀の雑用係として働くことになるが・・・。

 憧れに向かって真っすぐにぶつかっていく波津子が、沢山の素敵な人達から愛され、育てられ、夢を生み出す側の人間として成長していく姿が、爽快で楽しい。

 しかし、楽しいだけの話ではなく、戦争が近づく中でせめて少女達には夢を与えたいと願い奮闘する人々に対し、美しいものや役に立たないものを迫害しようとする権力が仕掛けてくる闘いには不穏なサスペンスがあり、波津子の成長に反比例するように悪くなっていく状況に、ハラハラしたり胸が痛んだりした。

 戦前、戦中、戦後を憧れに導かれて生きた波津子の人生を描く、甘くて切ない仕事と恋の物語。

| 読むサル | 18:57 | comments(0) | -
「食べる女」観るサル(映画館篇)

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「食べる女」監督:生野慈朗 出演:小泉今日子 鈴木京香 沢尻エリカ 前田敦子

 

 人に美味しいものを食べさせるのが好きな古書店店主で文筆家の敦子と彼女の家に集まる人々を中心に、様々な女性達の食と恋を描く、筒井ともみの短編集「食べる女 完全版」の映画化。

 家族の物語ではないし、むしろ独り身の女性ばかり登場する話なのだけど、居心地の良さそうな古い日本家屋が舞台の中心で、気心の知れた人達がいつもワイワイやっていて、食卓を囲むシーンも多いため、何だか一昔前のホームドラマを見ているような懐かしさを感じた。

 出てくる食事もあまり今風ではないけれど、だからこそ美味しそうでもあり、美味しいごはんが食べたいな、という気分にさせられる。

 映画館で観るよりも、連続ドラマとして夜に家でのんびり見たくなるような作品だった。

| 観るサル(映画館篇) | 17:38 | comments(0) | -
「隣のずこずこ」読むサル

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「隣のずこずこ」柿村将彦(新潮社)

 

 美しい娘と共に突然現れ、1ヶ月後に村人を全て呑み込み村を焼き尽くして去っていくという権三郎狸。幼い頃から聞かされてきた昔話の中の存在だと思っていた権三郎狸が実際に現れ、1ヶ月後に消される運命を突き付けられた小さな村の物語。

 1ヶ月後に死ぬと言われても実感がわかない一方で、もう先の事は考えなくて良いのだという解放感のような投げやりなような気持ちもあって、主人公の中学生はじめが最初に考えるのが“課題やらなくても良いかな”だったりするところが、ゆるいけれどリアルに感じた。

 何をしたらいいかわからないから少しだけタガが外れた状態で何となく続いていく日常の、微妙な歪みと狂気が、苦くて哀しい。

 のほほんとした雰囲気で描かれる、恐くて切ない、何とも奇妙な世界だった。

| 読むサル | 17:34 | comments(0) | -
「プーと大人になった僕」観るサル(映画館篇)

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「プーと大人になった僕」監督:マーク・フォスター 出演:ユアン・マクレガー 

 

 仕事に追われて家族ともすれ違い気味なクリストファー・ロビンの前に、かつての親友プーが突然現れ・・・。迷子の大人になってしまったクリストファーが、プーや100エーカーの森の仲間達との再会によって大切なものを取り戻していく、「くまのプーさん」のその後の物語。

 少年時代のクリストファーとプーの別れから現在までが、映像を交えて童話のページをめくるように描かれていくオープニングから、もう切なくて切なくてウルッときてしまった。

 豊かで素敵な子供時代を過ごしていたクリストファーが、厳しい寄宿学校で自由を奪われ、父親を突然亡くして家族を支えるために人より早く大人になることを求められ、戦争にも行って、現在は自分の職場と一緒に働く部下達を守るために家族との時間を犠牲にしている。

 少年時代と違って効率的であることを求めるせかせかした人間になってしまっても仕方のない事だと思うし、自分が楽をしたり得をしたりするために動くことなく、周りの人達のために必死になっている姿を見ると、むしろクリストファーの人柄は大変な人生を送ってきた割には変わっていないのではないかと感じた。

 そんな迷いながらいっぱいいっぱいの日々を送っている時に子供時代の象徴のようなプーが現れたら、嬉しいけれど苦しくもあるような気がする。

 古びたぬいぐるみといった感じのプーのルックスなどは可愛いけれど、可愛い顔して色んな方向から大人の胸をキューっと締め付けてくる作品だった。

| 観るサル(映画館篇) | 18:53 | comments(0) | -
「泣き虫しょったんの奇跡」観るサル(映画館篇)

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「泣き虫しょったんの奇跡」監督:豊田利晃 出演:松田龍平 野田洋次郎 永山絢斗

 

 奨励会で26歳までに四段になれなければ退会、という年齢制限によって一度はプロ棋士になることを断念したものの、周りの後押しによって35歳で特例でプロ編入試験を認められてプロ棋士になった瀬川晶司の、自伝的作品の映画化。

 夢中になれるものがあることの素晴らしさを教えてくれ、内気な晶司を肯定し励ましてくれた小学時代の鹿島澤先生と、好きな事をして生きるのが一番だと、とことん晶司に味方して支えてくれた父親が素敵で、こういう大人に出会えたら子供の人生は変わるよな、と思った。

 そんな2人を始めとする温かな人達に囲まれて育った晶司も魅力的で、勝負の世界などを描いた話にはよく「お前は優しいんじゃなくて弱いんだ」なんて言葉が出てくるけれど、晶司を見ていると逆に、彼は弱いんじゃなくて優しいんだ、と感じられる。

 勝負の世界ではその優しさのせいで苦しむこともあるだろうけれど、その優しさがあるからこそ、沢山の人が晶司にプロになって欲しい、勝ってほしいと願うわけで、こういう優しさを持った人が活躍できる世界って素敵だなと思うし、実話であることが嬉しくなる作品だった。

| 観るサル(映画館篇) | 16:40 | comments(0) | -
「偽姉妹」読むサル

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「偽姉妹」山崎ナオコーラ(中央公論新社)

 

 夫の浮気が原因で離婚した正子が、シングルマザーになった彼女を手助けしに来た姉の衿子と妹の園子と暮らすうち、自分で家族を選べる時代なのだから姉妹も自分で選んで良いのではないかと思いつき模索していく物語。

 一般的な価値観や常識に反発したり違和感を感じたりする正子の感覚や考え方にはかなり共感できるのだけど、一般的な価値観に縛られた衿子達との噛み合わないやり取りや静かなぶつかり合いの繰り返しは、読んでいてちょっと気持ちが疲れた。

 気楽な友人達と偽姉妹になっていく後半は楽しい。

 どうして友人同士のままではなく姉妹になろうとするのかという理由の中に、親切とお金にまつわる他人と身内の距離の違いというのが描かれていて、なるほどなと思った。

 ユニークで新鮮な角度から、家族って何なのだろうと考えさせてくれる作品。

| 読むサル | 18:50 | comments(0) | -
「森へ行きましょう」読むサル

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「森へ行きましょう」川上弘美(日本経済新聞出版社)

 

 留津とルツ、2人のるつの物語、というか、1人のるつの2つの物語、というか。

 祖母が生きている世界に生まれた留津と、祖母が亡くなっている世界に生まれたルツという、パラレルワールドのように少しずつズレた世界に生まれた2人が、少しずつのズレの積み重ねで全く違う人生を送っていくのが交互に描かれていくのだけど、全く違う人生を送っていても意外と同じ人と出会ったりして、でも、出会うタイミングが違えば相手の印象も相手との関係も違っていったりして、重なるようで重ならないところがユニークで面白い。

 同じ人間でも環境や出会う人間が違えば性格も人生も全く違ったものになる、という話に感じる一方で、読んでいくうちにどのエピソードがどちらのものだったのか分からなくなっていき、どんな人生を送っても大した違いはないのでは、という気分にもなってきて、おかしくて不思議な作品だった。

| 読むサル | 17:19 | comments(0) | -
「ディヴァイン・ディーバ」観るサル(映画館篇)

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「ディヴァイン・ディーバ」監督:レンドラ・レアル 出演:ブリジッチ・ディ・ブジオス

 

 ブラジルで最初に異性装のパフォーマー・ドラァグクイーンのショーを行った劇場の一つヒバル・シアターで、設立70周年記念に劇場出身の第一世代のドラァグクイーンが一堂に会して初演された「ディヴァイン・ディーバ・スペクタクル」。そのプレミア公演ができるまでと、出演者達の人生を追ったドキュメンタリー。

 生まれつき女性ではない人が女性の格好をすることに今よりも規制があった時代に、女装してステージに立ち一つの文化を築いた個性的で魅力的な人達という共通点はあるけれど、女になりたい人もいれば、男の部分も含めて自分という人もいるし、母親を悲しませないために母親が亡くなった今でも昼間は男性の格好という人もいれば、幼い頃から女性的であることを周りから認められて可愛がられてきた人もいて、見せる芸も、本格的に歌い上げる人もいれば、コミカルに歌い踊る人もいて、ドラァグクイーンと聞いてパッと思い浮かぶイメージを越えて、一口にドラァグクイーンと言っても様々なあり方、考え方、生き方があるのだと気付かされた。

 時々挟まれる、彼女達を身近な存在として育った劇場の設立者の孫で今作の監督であるレアンドラ・レアルのコメントが、新鮮な立場からの証言になっていて良かった。

| 観るサル(映画館篇) | 19:01 | comments(0) | -
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