観るサル 聞くサル 言うサル

最近観た映画や本についてのブログです。「観るサル」(映画館篇)では映画館で観た映画「観るサル」(家篇)ではテレビやビデオなどで観た映画「読むサル」では本について綴っていきます。
「ル・アーヴルの靴みがき」観るサル(映画館篇)
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「ル・アーヴルの靴みがき」監督:アキ・カウリスマキ 出演:アンドレ・ウィルム 

北フランスの港町ル・アーヴルで倹しくも幸せに暮らす靴みがきのマルセルが、愛する妻・アルレッティの突然の入院と時を同じくして不法移民の少年・イドリッサと出会い、アルレッティの心配をしながらイドリッサのために奔走していく物語。
ツケをためているマルセルに渋い顔をしていた八百屋の店主が、イドリッサをかくまったとたんたっぷりの食料を持たせて応援したりする、隣人達の人情と心意気が嬉しい。
幸も不幸も登場人物達は淡々と受け止め、映画もそれを淡々飄々とほのかなユーモアを漂わせながら描いていく。
ちょっぴり人を食ったような飛び切りのハッピーエンドに、こんな風に運命を受け入れ毎日をコツコツと穏やかに生きていれば、時にはこんな奇跡が起こったっていいのかもしれない、と何だかジーンときて涙が出てきてしまった。
熱く心を揺さぶったりしないからこそ、普通の人達の普通の優しさと愛情がじわじわと沁みてきて心に残る作品。 
| 観るサル(映画館篇) | 13:22 | comments(0) | -
「ブラック・スワン」観るサル(家篇)
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「ブラック・スワン」監督:ダーレン・アロノフスキー 出演:ナタリー・ポートマン
 
元バレリーナの過干渉な母と暮らす優等生タイプのバレリーナ・ニナが、「白鳥の湖」の主役に選ばれたものの、官能的な黒鳥も演じなくてはならないプレッシャーから追い詰められていくサスペンス。
見ていて生々しい痛みを感じるシーンが多く、嫌な緊張感が続く。
後半、非現実的なシーンをたたみかけてしまったために、クライマックスでの驚きが薄れてしまった気がする。抑えて描けば心理劇だったのに、やりすぎてホラーになってしまったという感じ。
アカデミー賞主演女優賞を受賞したナタリー・ポートマンのピリピリとした演技が痛々しくて恐く、ある種の凄みは感じるけれど、引き付けられるよりも、目を逸らしたくなってしまった。
| 観るサル(家篇) | 17:35 | comments(0) | -
「ちょちょら」読むサル
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「ちょちょら」畠中恵(新潮社)
 
亡くなった優秀な兄の代わりに多々良木藩江戸留守居役(藩の外交面を引き受ける役)を務めることになった新之介が、なぜ兄が死ななくてはならなかったのかを探りながら、藩を守るために奮闘していく物語。
相手が求める物や情報を与えその見返りとして様々な便宜をはかってもらうという、接待が仕事であり闘いである留守居役達の、藩の命運を賭けた接待での真剣な駆け引きが新鮮で面白い。
そんなことで人の運命が決まってしまうのか、ということが、時に滑稽で、時に切なく残酷だ。
追い詰められるたび必死に取った手で認められていく新之介の、本人は無自覚で周りのほとんどからも冴えない奴と思われているけれど見抜く目がある人から見ればそれなりに使える奴、というキャラクターがユニークで、この先の彼がどんな風に成長していくのか読んでみたくなった。
| 読むサル | 17:50 | comments(0) | -
「テルマエ・ロマエ」観るサル(映画館篇)
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「テルマエ・ロマエ」監督:武内英樹 出演:阿部寛 上戸彩 市村正親 北村一輝 宍戸開
 
仕事に行き詰る古代ローマの浴場設計技師ルシウスが、現代日本の様々な風呂にタイムスリップしてしまうようになり、そこで得たアイデアを再現することで名浴場設計技師として認められていくコメディ。
大きなスケールにちまちました笑いが絡み合うかなりバカバカしい世界なのだけど、皇帝が民衆を喜ばせて支持を集めるために公衆浴場を作らせるエピソードなどは、国を上手くまわしていくために皇帝が民衆に接待をしているようで、なるほどな、と面白かった。
古代ローマ人を堂々と演じられてしまう阿部寛がこの映画の一番の魅力だと思うけれど、ルシウスに巻き込まれる漫画家志望の真実を演じる上戸彩も、様々な表情を見せ活き活きとして魅力的だった。
いかにも平たい顔族(日本人)な顔をしたおじいちゃん達も、良い味出してる。

| 観るサル(映画館篇) | 17:40 | comments(0) | -
「星やどりの声」読むサル
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「星やどりの声」朝井リョウ(角川書店)
 
父を亡くした喪失感を抱えて生きてきた早坂家の6人兄弟が、父の不在を受け入れ新しい一歩を踏み出していくまでの物語。
24歳の長女から小6の三男までいるので、年齢や性別によって父といた時間や父との思い出、家族の中での役割などがそれぞれに違い、6つの個性と成長物語が楽しめる。
それぞれが形は違っても共通して抱えている、父への想いと家族への想いが温かかった。
最後に明かされる父が喫茶店「星やどり」に託した想いには、ロマンチック過ぎると思いつつ、ホロリとさせられる。描かれる状況は甘くないけれど、とても優しい小説だった。
| 読むサル | 16:15 | comments(0) | -
「シャーロック・ホームズ シャドウゲーム」観るサル(映画館篇)
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「シャーロック・ホームズ シャドウゲーム」監督:ガイ・リッチー 出演:ロバート・ダウニーjr

ホームズの最強の敵、モリアーティ教授との闘いを描く、ロバート・ダウニーjrとジュード・ロウがホームズとワトソンを演じる「シャーロック・ホームズ」シリーズ第2弾。
前作よりもシンプルにまとまっていて、少し地味になったかもしれないけれど、その分じっくりと集中して観られる。
頭脳も格闘も互角な天才同士の闘いの、ハラハラドキドキというよりも、どちらが先に出し抜くのかとジリジリさせられるスリルを、様々な絆のエピソードやユーモアと共に楽しんだ。
飄々とバカバカしいことをやって笑わせるホームズの二枚目半っぷりは相変わらずだけど、今回は大切な相棒ワトソンを守ろうと真剣になる姿が格好良く、ホームズのその友情というか、愛情?に応えるようなワトソンの活躍も痛快。
ホームズとワトソンの仲を邪魔しない、ワトソンの妻メアリーのキャラクターも素敵だ。
| 観るサル(映画館篇) | 16:33 | comments(0) | -
「アーティスト」観るサル(映画館篇)
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「アーティスト」監督:ミシェル・アザナヴィシウス 出演:ジャン・デュジャルダン
 
サイレント映画のスター・ジョージと新人女優・ぺピーはひょんな事から出会い惹かれ合うが、映画がトーキーへと変わっていく中、変化を受け入れられないジョージは落ちぶれていき、ぺピーはスターとして輝いていく・・・。モノクロとサイレントで描く、映画がサイレンからトーキーへと変わっていく時代の物語。
尊大でナルシストの、嫌な奴だけど悪い奴ではないジョージがひたすら落ちぶれていく姿に、哀愁が漂い切なかった。
いつもそばにいてジョージを守ろうとする愛犬と、ギリギリまでジョージを支えようとする運転手・クリフトンの存在に救われる。本当ならジョージを助けようとするぺピーの姿に一番救われるところなのかもしれないけれど、彼女の元気の良さががさつに感じられてしまい、言う事やる事どうもデリカシーに欠ける気がして、彼女がもう少し魅力的だったらなあ、と思ってしまった。
この映画はモノクロのサイレント、という観客の思い込みを軽くいなすような遊び心のあるシーンが面白く、ただ単に昔のサイレント映画を再現したかったのではなく、監督が表現したいものを表現するのに必要だったのが、モノクロでサイレントという形だったのだな、と思った。
| 観るサル(映画館篇) | 17:48 | comments(0) | -
「大丈夫であるように」観るサル(家篇)
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「大丈夫であるように ―Cocco終らない旅―」監督:是枝裕和 出演:Cocco
 
沖縄出身のミュージシャンCoccoの旅を追ったドキュメンタリー。
Coccoについてはヒットした曲を耳にしたことがある程度であまりよく知らなかったのだけど、どんな人にも全力で真っ直ぐに向き合ったり、世の中に対して一人の人間としての責任を感じ過ぎるくらい感じていたり、魂をむき出しのままで生きているような姿に引き込まれた。
素直な感情を大勢の人に向かって親しい人に対するように無防備な言葉で語りかける姿は少女のようだけど、様々な物事に対する真摯な考えや深いまなざしは長い年月を生きてきた人のようでもあり、彼女の言葉には不思議な説得力を感じる。
音楽ドキュメンタリーというより、沖縄の基地問題や六ヶ所村の核再生処理施設などの問題について語られた社会派ドキュメンタリーという印象の方が強く残り、今の時代にどう生きるかを考えさせられる作品だった。
| 観るサル(家篇) | 17:30 | comments(0) | -
「わたしの小さな古本屋」読むサル
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「わたしの小さな古本屋 倉敷「蟲文庫」に流れるやさしい時間」田中美穂(洋泉社)

倉敷にある古本屋「蟲文庫」の店主が、店の始まりから現在までを綴ったエッセイ。
21歳のある日突然「古本屋になろう」と決めて自己流で始めた店が、少しずつ変化しながら個性的な店として定着していく。大変なことも色々とあっただろうけれど、肩肘張らずに流れに身を任せながら自己流で何とかしていく姿が、ユニークで魅力的。
自分のことをちゃんと分かっていて、自分にとって居心地の良い居場所と生き方を自ら作り出せているところが素敵で、こんな風に生きられるのって良いな、と思った。
| 読むサル | 15:54 | comments(0) | -
「ゼロからの脚本術 10人の映画監督・脚本家のプロット論」読むサル
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「ゼロからの脚本術 10人の映画監督・脚本家のプロット論」(編)泊貴洋(誠文堂新光社)
 
吉沢良太、内田けんじ、三木聡、園子温、大宮エリー、筧昌也、福田雄一、横浜聡子、高橋泉、行定勲の10人が、それぞれ自作を例にアイデアメモなどを公開しながら、脚本の書き方や作品の成り立ちについて語っていて、映画のメイキングというのはよくあるけれど、それ以前の脚本のメイキングというのが貴重で面白い。
きっちりと構成を考えてから書くタイプの人と決めずに感覚で書いていくタイプの人とで全く逆の考えが語られていたりする一方で、同じタイプの人同士が似たようなアドバイスをしていたりして、作品の個性は違っても、意外とみんながバラバラな考えややり方を持っているというわけでもないのだな、と思った。
硬いタイトルと、重要と思われる言葉が横に抜き書きしてあったりする教科書的な作りがちょっととっつきにくいけれど、取り上げている人と作品が面白いので、けっこう読み物として楽しめる一冊だった。
| 読むサル | 17:46 | comments(0) | -
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