観るサル 聞くサル 言うサル

最近観た映画や本についてのブログです。「観るサル」(映画館篇)では映画館で観た映画「観るサル」(家篇)ではテレビやDVDなどで観た映画「読むサル」では本について綴っていきます。
「最初の晩餐」観るサル(映画館篇)

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「最初の晩餐」監督:常盤司郎 出演:染谷将太 戸田恵梨香 斉藤由貴

 

 父・日登志の通夜の席で、母・アキコが突然、通夜ぶるまいを自分が作ると言い出して・・・。一つ一つの料理を通して、日登志とアキコの再婚から始まった東家5人の日々が回想されていく物語。

 日登志が慣れない手つきで作った創作目玉焼きや、突然兄妹になったシュンと美也子の争いに終止符を打たせたアキコの味噌汁など、家庭料理ならではの素朴な個性を感じさせる料理の数々が魅力的で、5人が家族になっていく日々のエピソードに温かさを添えていた。

 後半にアキコが抱えてきた秘密が明かされるのだけど、そういう背景は無い方が、かえって何でもない物語として心に沁みた気がする。

 不器用だけど深い愛情で家族を守り繋ごうとする、日登志役の永瀬正敏が良かった。

 

| 観るサル(映画館篇) | 19:07 | comments(0) | -
「ボーダレス」読むサル

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「ボーダレス」誉田哲也(光文社)

 

 小説を書いている女子高生とそのクラスメイトのエピソードと、女子高生が書いている小説の世界らしい森の中を逃げ惑う姉妹のエピソード、姉妹の妹が話題にしているテレビドラマの登場人物らしき喫茶店の一家のエピソードなど、入れ子状態のような世界のエピソードがリレーされながら繋がっていくミステリー。

 次々と変わっていくバラバラな世界のエピソードを何となく油断して読んでいるうちに、気が付いたらいつの間にか登場人物達が事件に巻き込まれていて、やられた、という気持ちになった。

 緊迫しているのにどこか気が抜けたクライマックスに、この小説はいったい何なのだろうと呆気にとられる。

 タイトル通りボーダレスな世界に頭がこんがらがってくる、ユニークな作品だった。

| 読むサル | 15:57 | comments(0) | -
「閉鎖病棟 それぞれの朝」観るサル(映画館篇)

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「閉鎖病棟 それぞれの朝」監督:平山秀幸 出演:笑福亭鶴瓶 綾野剛 小松菜奈

 

 精神科病院を舞台に、死刑執行に失敗して障がいを抱えた秀丸、幻聴に苦しむチュウさん、義父から性的虐待を受けていた女子高生の由紀が心を通わせていく、帚木蓬生の同名小説の映画化。

 それぞれに苦しみを抱えてきた3人が、ある事件をきっかけに傷付きながら一歩踏み出していくまでの物語なのだけど、3人を中心に物語が動き始めるまでが意外と長く、そこまでの閉鎖病棟の日常を描いた群像劇が、精神病患者を違和感の無いように演じるのは難しいことだと思うのだけど、それを大人数でそれなりの時間見せられるので、ちょっときつかった。

 まいっている人に水を差しだしたり、怯えている人をそっとカバーしたり、心に傷を抱えた人達が見せる優しさの、さり気ない描き方が良い。

 助けてくれた秀丸を助けるために強くなろうと成長する、チュウさんと由紀の姿が清々しかった。

| 観るサル(映画館篇) | 18:54 | comments(0) | -
「アダムズ・アップル」観るサル(映画館篇)

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「アダムズ・アップル」監督:アナス・トマス・イェンセン 出演:マッツ・ミケルセン

 

 更生のため田舎の小さな教会に送られてきた仮釈放中の狂暴な男・アダムが、牧師のイヴァンに自分で取り組むことを考えるよう言われ、成り行きで庭のリンゴでケーキを焼くことを目標とすることになるが、次々とトラブルに見舞われていく物語。

 トラブルを悪魔からの試練だと言うイヴァンに反発したアダムは、様々な現実を突き付けてイヴァンの信仰心を挫こうとするのだけど、普通ならアダムが悪役になりそうなところ、イヴァンの信仰心が“信じる者は救われる”を通り越し、悪い事が起こっても一切認めず盲目的に目を逸らすという捻じれた方向に暴走しているため、まともな悪人VS悲しみに狂った善人という、ややこしくて呆気にとられるシュールな展開になっている。

 相手のことをまるごと受け入れているようでいて、実は自分の考え以外は認めない我が道を行くイヴァンを、時に不気味に時にお茶目に演じるマッツ・ミケルセンの、穏やかな怪演が凄い。

| 観るサル(映画館篇) | 18:57 | comments(0) | -
「真実」観るサル(映画館篇)

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「真実」監督:是枝裕和 出演:カトリーヌ・ドヌーヴ ジュリエット・ビノシュ

 

 フランスの大女優・ファビエンヌの屋敷に、自伝の出版を祝おうと娘のリュミールが家族と共に訪ねてくるが、偽りだらけの自伝の内容が、リュミールを始めとする周りの人々の心を乱していく物語。

 登場するなり毒舌を吐き身勝手で気ままに振る舞うファビエンヌの姿を見て、是枝作品に出演したらカトリーヌ・ドヌーヴが樹木希林みたいになっている、と思ってしまった。

 前半は、そんなファビエンヌが人間臭すぎて大女優なのにとても小さな人間に見えてしまい、これで良いの?と思ってしまったのだけど、母親や友人として最低でも演技さえ良ければそれで良いと言い放ってしまえる女優としての強さと、そんなことを言いながらあちこちに寂しさを滲ませてしまう人間としての弱さが感じられるようになってきてからは、周りの人々とのアンサンブルの良さもあって、彼女が魅力的に見えてきた。

 嘘と演技を巡るお話なので、様々なシーンで、このシーンは良い雰囲気だけど実は演じていたりして、とか、このウソに本当は気付いていたりして、などと深読みしたくなる。

 信じて見るか疑いながら見るかによって色々な見方が楽しめる、ユニークな作品。

| 観るサル(映画館篇) | 21:21 | comments(0) | -
「中野のお父さんは謎を解くか」読むサル

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「中野のお父さんは謎を解くか」北村薫(文藝春秋)

 

 編集者の田川美希が職場で出会った様々な謎を、中野に住む本好きのお父さんが解決していく、中野のお父さんシリーズの2作目。

 謎解きと言っても事件が起こるわけではなく、文学や言葉の知識を使った知的な謎解き遊びといった感じで、お父さんの謎解きをユニークな文学講座でも聞くように、“へえ、そうなんだ”と楽しんだ。

 登場人物がほのぼのとして味があり、昔のホームドラマが落語の世界みたいだな、と思った。

| 読むサル | 17:42 | comments(0) | -
「希望荘」読むサル

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「希望荘」宮部みゆき(小学館)

 

 家族も仕事も失った杉村が、1人になって探偵事務所を開き、様々な事件と向き合っていく物語。

 「誰か」から始まる杉村三郎シリーズの4作目で、前作までを読んでいれば杉村がどういう人物なのかより深く知ったうえで読むことができるかもしれないけれど、今作から読んでも十分楽しめるし、杉村が探偵になる直接のきっかけとなる事件も、杉村がこれまで巻き込まれてきた事件とは関係なく今作で初めて描かれるので、「探偵・杉村三郎」シリーズの1作目と呼びたい感じ。

 事件に関わった人々の心に寄り添う杉村の謎解きは、ほろ苦い真実に辿り着くことも多いけれど、人間味があってどこか温かな余韻を残す。

| 読むサル | 15:58 | comments(0) | -
「ブルーアワーにぶっ飛ばす」観るサル(映画館篇)

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「ブルーアワーにぶっ飛ばす」監督:箱田優子 出演:夏帆 シム・ウンギョン

 

 職場では毒舌を吐きまくり、私生活では不倫中のやさぐれた生活を送るCMディレクターの砂田が、風変わりな友人のキヨを連れて、祖母の見舞いに大嫌いな故郷に里帰りする物語。

 自由過ぎる行動と言動で砂田を引っ張り、時に優しく突っ込んだり寄り添ったりしてくれるキヨがとても魅力的で、やさぐれた砂田との掛け合いが面白い。

 この役を日本語がスムーズではないシム・ウンギョンが演じることによって、異質感が際立ちながらウソ臭くならないところが良かった。

 特に何が起こるという話ではないのだけど、マイペースな両親に苛立ったり、そんな両親の老いの兆しを目の当たりにしてモヤモヤしたり落ち込んでしまったり、祖母の見舞いに来たもののどう振る舞ったら良いのか分からなくて居たたまれなくなったり、身に覚えのある感情が沢山描かれていて、時々キュッと胸が苦しくなった。

 現状や先のことなど、色々と目を逸らしたい事が多くて苛立つ年頃の女性が、ちょっとだけ自分と向き合うことになるファンタジー、という感じかな。

| 観るサル(映画館篇) | 20:46 | comments(0) | -
「寝ても覚めても」観るサル(家篇)

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「寝ても覚めても」監督:濱口竜介 出演:東出昌大 唐田えりか 瀬戸康史 

 

 大阪で暮らしていて麦と出会い、運命的な恋に落ちたものの突然姿を消されてしまった朝子が、数年後、東京で麦にそっくりな亮平と出会って惹かれ合っていく、柴崎友香の同名小説の映画化。

 普通だったらそこまで時間をかけて描かれない、様々な感情を抱えながら流れていく何でもないようで何でもなくない日常の繰り返しが、じっくりと時間をかけて描かれているところが面白い。

 原作者である柴崎友香の小説も、何でもなさそうな日常のリアルな描写と、そこで交わされる会話が魅力的な作品が多いので、原作と監督の相性も良かったのかもしれない。

 愛というものの得体の知れなさと凄味が感じられるラストにゾクッときた。

| 観るサル(家篇) | 17:27 | comments(0) | -
「今さら言えない小さな秘密」観るサル(映画館篇)

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「今さら言えない小さな秘密」監督:ピエール・ゴドー 出演:ブノワ・ポールヴールド

 

 村の人々が自転車のことをタヴュランと呼ぶくらい自転車の達人として知られているのに、実は自転車に乗れないという秘密を抱えた自転車修理工のラウル・タヴュランが、村を訪れた写真家のフィグーニュと親しくなり、自転車に乗っている姿を撮影したいと言われたことから窮地に陥っていく、フランスの国民的漫画家ジャン=ジャック・サンペの同名絵本の映画化。

 秘密を隠すことに必死で友達とも遊べず、自転車に乗れなくては大好きな父の仕事を継ぐこともできないと一人胸を痛める子供時代のラウルの姿がおかしくも切なくてたまらず、ラウルの人生に本当のことを言い出しにくくなる出来事が次々と起こっていく様子はブラックコメディかと思うくらいで、ほのぼのと可愛らしい作品に見えて、なかなかパンチが効いている。

 やきもきジリジリしっぱなしの90分だった。

 乗ってもらえなくてもラウルに寄り添い続ける、意志を持っているかのような自転車が可愛い。

| 観るサル(映画館篇) | 18:55 | comments(0) | -
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