観るサル 聞くサル 言うサル

最近観た映画や本についてのブログです。「観るサル」(映画館篇)では映画館で観た映画「観るサル」(家篇)ではテレビやDVDなどで観た映画「読むサル」では本について綴っていきます。
「パーティで女の子に話しかけるには」観るサル(映画館篇)

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「パーティで女の子に話しかけるには」監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル 出演:エル・ファニング アレックス・シャープ

 

 サエないパンク少年・エンがパーティ会場と間違えて異星人達が滞在する屋敷に迷い込み、そこで出会った風変わりな少女・ザンと恋に落ちる物語。

 パンクがテーマになっていて、自由を求めて自分達を食い物にする大人達と戦う若者達のラブストーリーという感じになっているのだけど、異星人の肌に吸い付くような原色の衣装や、奇妙な歌とダンスなど、サイケデリックでシュールな実験映画のようで、面白いことは面白いのだけど、正直ちょっとついていけないところもあった。

 しかし、そんな中でもピュアでズレていてちょっぴり過激なザンを演じるエル・ファニングは、とてもチャーミングで可愛らしい。

 変わったシーンよりも、ザンがエンの母親に会うシーンとか、ザンとエンがはしゃぎながら駆け回るシーンとか、普通の感じのシーンが良くて印象に残った。

 とんがっていてオシャレで個性的な、ミニシアターブーム時代のシネマライズとかで上映してたら似合いそうな作品。

 

| 観るサル(映画館篇) | 17:37 | comments(0) | -
「希望のかなた」観るサル(映画館篇)

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「希望のかなた」監督:アキ・カウリスマキ 出演:シェルワン・ハジ サカリ・クオスマネン

 

 内戦から逃れ偶然辿り着いたフィンランドで生き別れの妹を探すシリア人青年カーリドと、彼を手助けすることになる、酒浸りの妻と仕事を捨てて従業員付飲食店を手に入れ新しい人生を始めようとする初老の男ヴィクストロムの物語。

 この監督の作品らしく、今作でも登場人物達は淡々とあまり表情を変えずに悲しみや喜びややるせなさの中にいて、その独特なテンションがクスリとした笑いを誘う。

 カーリドがさらされている危険を過小評価して難民と認めない入国管理局や、外国人を差別して暴力で排除しようとする男達など、この作品で描かれる悪を一言で言うと、“不寛容”ということになるのだろう。

 難民仲間やホームレス、行き場が無さそうなヴィクストロムの店の従業員達など、弱者であるはみ出し者達の優しさが心に沁みる。

 成り行きで全てを受け入れていくことになるヴィクストロムが、無表情なおじさんなのだけど、頼れるヒーローに見えてくる。

 不寛容に潰されるのか、優しさに救われるのか、ラストのその先が気になった。

| 観るサル(映画館篇) | 18:52 | comments(0) | -
「もう生まれたくない」読むサル

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「もう生まれたくない」長嶋有(講談社)

 

 A大学の校内診療室の受付や清掃員、非常勤講師など、些細な接点で繋がった人々の日常を描いた物語。

 なのだけど、そこに、身内や知人の死、有名人やニュースの中の死、最近亡くなった人とそこから思い出された過去に亡くなった人の死など様々な死が散りばめられ、死を巡る物語になっている。

 死を扱っているからといって重い話ではないのだけど、日常の中に死ってこんなに溢れているんだ、死って日常なんだと、神妙な気持ちというか、心許ないような気持ちにさせられる。

 巻末に「本作に登場する主な死者と死因」というリスト(ネタバレになるところもあるので、先に見ない方が良い)があったことに、ちょっとギョッとした。

 

| 読むサル | 17:50 | comments(0) | -
「探偵はBARにいる3」観るサル(映画館篇)

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「探偵はBARにいる3」監督:吉田照幸 出演:大泉洋 松田龍平 北川景子

 

 惚れっぽくてお人好しの探偵と、喧嘩が強くてマイペースな相棒兼運転手の高田が依頼人のために奮闘するシリーズの3作目で、失踪した高田の後輩の彼女を探すという単純に見えた依頼をきっかけに、2人が怪しいモデル事務所のオーナー・マリが絡んだ事件に巻き込まれていく物語。

 今作から監督が変わって独特な泥臭さが薄まり、それが良いところもあるし、ちょっと物足りないところもあるという感じ。

 哀しい美女の企みに探偵が振り回されるのがパターンになっていて、今回も全てを分かっていて振り回しているマリの方が当然有利なわけで、探偵が探偵の願う形で彼女を救うのは難しいのだけど、マリにとっては探偵が自分のために全力で振り回されてくれることが救いであり、求めていたことだったのかもしれない。

 企みを胸に秘めながら、つかの間の楽しい時間にはしゃぐマリの姿が切なかった。

 しんみりしたラストも悪くないけれど、やっぱりエンドロール後のおまけの楽しさが良い。途中で席を立った人は損をしているなと思った。

 

| 観るサル(映画館篇) | 17:39 | comments(0) | -
「真実の10メートル手前」読むサル

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「真実の10メートル手前」米澤穂信(東京創元社)

 

 高校生の心中事件の謎や、孤独死した老人が望んでいた“名を刻む死”とは何だったのかなど、フリー記者(表題作のみ新聞記者時代の話)太刀洗万智が追った様々な事件を描いた短編集。

 太刀洗の鋭い洞察力によって明かされていく真実の数々に、ハッとさせられ引き込まれた。

 そんな鋭さを持ちながら、というかそんな鋭さを持っているからこそなのか、安易に人を裁かず、自らも傷ついたり胸を痛めたりしながら、とことんフェアな態度で誠実に真実と向き合おうとする太刀洗の、凛とした姿に惹かれる。

 記者である太刀洗は警察や探偵のように事件を解決することはできないかもしれないけれど、事件とじっくり向き合うことで、終わった事にされて埋もれてしまいそうになっていた真実を掘り起こして誰かの心を救ったり、未来への負の連鎖を断ち切ることはできる。

 スカッとはしないかもしれないけれど、誠実で清々しいミステリーだった。

 

| 読むサル | 16:55 | comments(0) | -
「人生はシネマティック!」観るサル(映画館篇)

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「人生はシネマティック!」監督:ロネ・シェルフィグ 出演:ジェマ・アータートン

 

 第二次世界大戦時のイギリス。戦争で男達がいなくなったために広告映画の脚本家に抜擢されたカトリンが、その縁で戦意高揚のためのダンケルクの戦いを描いた新作映画の脚本に参加することになり、トラブルだらけの映画作りに奮闘していく物語。

 男の代わりに働く女の賃金が男より低くて当たり前だったり、自分より仕事を優先していると夫が不機嫌になったり、戦争という非常事態の中にあっても変わらず男尊女卑な社会の中で、柔軟な発想力で少しずつ周りの信頼を得て映画に登場する女性達の活躍シーンを勝ち取っていくカトリンの、凛とした活躍が清々しい。

 乗せ上手なカトリンと、ズケズケと本当のことを言うエージェントのソフィーとの出会いによって変わっていく、我が儘なベテラン俳優アンブローズのエピソードも魅力的で、最初は滑稽に見えた彼が、最後には格好良く見えた。

 

| 観るサル(映画館篇) | 18:53 | comments(0) | -
「ザ・コンサルタント」観るサル(家篇)

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「ザ・コンサルタント」監督:ギャビン・オコナー 出演:ベン・アフレック アナ・ケンドリック

 

 表向きは小さな会計事務所を営む会計士、実は多くの悪人を顧客に持つ裏社会の会計士で天才的なスナイパーの腕を持つウルフが、ある企業の不正に巻き込まれ命を狙われるサスペンスアクション。

 ウルフが自閉症というのがミソで、メインの事件は正直に言うとあまり印象に残っていないのだけど、その間に挟まれる、生き辛さを抱えたウルフがちゃんと生きて行けるようにという軍人の父のスパルタ的な教育と訓練が、どのように現在の彼を生んだのかというエピソードが、父のやり方がウルフにとって良かったのかどうかは別として、面白かった。

 ちょっと肩すかしな結末も含めて、斬新でユニークな作品。

 

| 観るサル(家篇) | 17:18 | comments(0) | -
「怒り 上・下」読むサル

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「怒り 上・下」吉田修一(中央公論新社)

 

 犯人が捕まらないまま一年が過ぎた八王子夫妻殺人事件が、千葉県の港町で暮らす不器用な父娘・洋平と愛子、東京で暮らすゲイの優馬、男にだらしない母のせいで逃げるように沖縄に越してきた女子高生・泉の運命に思いがけない影響を与えていく物語。

 映画も面白かったけれど、原作はもっとずっと面白い。

 人の心の変化を細やかに追っていけるのはやっぱり小説ならではで、少しずつ芽生えていく愛情、少しずつすれ違ってしまう関係、少しずつ深まっていく絆、少しずつ積み重なっていく疑惑、少しずつ募っていく怒りなどなど、様々な人物の様々な思いが織り成していく世界に、愛しくなったり切なくなったりしながらグイグイと引き込まれた。

 相手のことを信じたいのに信じ切れなくて裏切って、それでもやっぱり信じようとする登場人物達の姿に、信じることの複雑さと難しさを突き付けられ、信じるとはどういうことなのだろうな、と考えさせられた。

 

| 読むサル | 18:47 | comments(0) | -
「密偵」観るサル(映画館篇)

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「密偵」監督:キム・ジウン 出演:ソン・ガンホ コン・ユ 鶴見辰吾

 

 日本統治下の朝鮮を舞台に、朝鮮人でありながら日本の警察に所属するイ・ジョンチュルが、朝鮮独立を目指す義烈団を監視する任務のため義烈団の隊長キム・ウジンに近づくが、ウジンから義烈団への協力を求められるうちに揺れ動いていく物語。

 誰が情報を漏らし誰と誰が繋がっているのかという騙し騙されのスパイアクションなのだけど、物語の中心にいるジョンチュルが、スパイの技術として日本側に付いたり義烈団側に付いたりして翻弄しているわけではなく、個人的な感情の揺れによって立場や態度を変えていたりするところが、人間臭いサスペンスになっていてユニーク。

 生きていくために同胞を敵に回したものの、酷い目に遭っている同胞を目の当たりにすれば義憤に駆られて危うい行動をとってしまったりもして、「心変わりするかもしれない」と言いながら揺れ動き続けるジョンチュルには、自分で選んだ立場ではあるものの、巻き込まれて板挟みになってしまった普通の人間の悲哀が感じられ、感情移入してしまう。

 優雅な音楽の乗せて流れるような映像で描かれるクライマックスの意外な華麗さが、印象的で面白かった。

 

| 観るサル(映画館篇) | 19:07 | comments(0) | -
「おじいちゃん、死んじゃったって。」観るサル(映画館篇)

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「おじいちゃん、死んじゃったって。」監督:森ガキ侑大 出演:岸井ゆきの 岩松了 光石研

 

 認知症のおばあちゃんを一人残して、おじいちゃんが死んじゃった。喪主を務める離婚した伯父や、その子供である従兄弟達など、葬儀のため久々に顔を合わせた面々がギクシャクとぶつかりあう、3日間の物語。

 父親と伯父さんが何かと突っかかり合い兄弟喧嘩をするのにうんざりしたり、おじいちゃんが亡くなったというのにあまり悲しくないことに後ろめたさを感じたり、周りの人達もあまり悲しそうでないことに苛立ってみたり、あるある、分かる分かる、という感じ。

 客観的に見れば、たいていのお葬式はほとんどコメディだし、それなりにドラマチックなものなのだと思う。

 というわけで、お葬式を数回体験した身としては、うんうん、お葬式ってこういうもんだよね、という感じの作品だった。

 おかしな罪悪感からこんがらがる主人公・吉子を飄々と受け止める、恋人・圭介の軽さがちょっと良い。

 

| 観るサル(映画館篇) | 19:00 | comments(0) | -
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