観るサル 聞くサル 言うサル

最近観た映画や本についてのブログです。「観るサル」(映画館篇)では映画館で観た映画「観るサル」(家篇)ではテレビやDVDなどで観た映画「読むサル」では本について綴っていきます。
「ブリット=マリーの幸せなひとりだち」観るサル(映画館篇)

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「ブリット=マリーの幸せなひとりだち」監督:ツヴァ・ノヴォトニー 出演:ペルニラ・アウグスト

 

 何事も予定通りにきっちりこなして何十年間も同じ生活を送ってきたブリット=マリーが、夫の浮気で家を飛び出し、職を求めてたどり着いた田舎町で、知識もないのに少年サッカーチームのコーチとして奮闘していくことになる物語。

 何も知らないおばちゃんがコーチなんてと馬鹿にする弱小サッカーチームの子供達に対し、自己紹介をさせ施設の片づけを命じ、きっちりしたおばちゃんであるブリット=マリーらしいやり方で接していく様子が、何だかちょっと痛快だった。

 そんなブリット=マリーが少女ヴェガのサッカーへの思いに触れ、子供達のために教則本片手に勉強しながら熱心に指導を始め、そんな彼女と子供達の姿に周りの人達も巻き込まれ、ブリット=マリーをコーチとして成長させていくところが楽しい。

 ブリット=マリーを単に気質としてきっちりとした人に描くのではなく、理由があってきっちりした性質になってしまった人として描いているところが良く、彼女が過去から解放されるラストが爽やかだった。

| 観るサル(映画館篇) | 18:43 | comments(0) | -
「こんぱるいろ、彼方」読むサル

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「こんぱるいろ、彼方」椰月美智子(小学館)

 

 ボートピープルとして日本にやってきたベトナム人であることを子供達に隠してきた真依子、母からベトナム人であることを隠されてきたことに怒りながらもベトナムについて知ろうとしていく娘の奈月、生まれ育ったベトナムを脱出して日本で生きてきた真依子の母・春恵。三世代の母と娘の物語。

 母親がボートピープルだったとバレたら子供達がいじめられるのではないかと心配する一方で、幼くして日本に来たため両親と話すのに兄姉に通訳してもらうこともあるほど日本に馴染んで育ち、ベトナムに対して興味も知識も持たない真依子の姿に、なるほど、当事者といっても人それぞれなのだな、とハッとさせられた。

 そんな真依子にもどかしさと苛立ちを感じながらベトナムについて学んでいく奈月は、真っすぐで頭でっかちになりがちなところには少し反発を感じるけれど、周りと異なるものを柔軟に受け入れたり、他人の価値観に振り回されず自分が良いと思ったものは堂々と良いと言えるしなやかさは魅力的。

 著者は、若者達の感覚や、彼らの作る未来に希望を持っているのではないかと感じた。

| 読むサル | 18:37 | comments(0) | -
「勿忘草の咲く町で 安曇野診療記」読むサル

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「勿忘草の咲く町で 安曇野診療記」夏川草介(角川書店)

 

 安曇野にある梓川病院を舞台に、看護師3年目の月岡美琴と研修医1年目の桂正太郎が、病院の抱える様々な問題にぶつかりながら奮闘していく物語。

 胃ろうを作るか作らないかや、リスクの高い治療を高齢者にどこまで行うかなど、患者の多くを占める高齢者に対する医療の難しい問題が次々と描かれていくのだけど、そこに関わる人達の描き方が優しくて理想的なため、重くならずに向き合うことができた。

 研修医の桂が、花屋の息子で花が好きで花に詳しいという設定なのがユニークで、ほのぼのとしていてホッとする。

 「神様のカルテ」シリーズの登場人物がチラリと登場していたので、この先2つのシリーズが繋がったりするのかな、と思った。

| 読むサル | 18:48 | comments(0) | -
「スペシャルズ!政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話」観るサル(映画館篇)

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「スペシャルズ!政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話」監督:エリック・トレダノ オリヴィエ・ナカシュ 出演:ヴァンサン・カッセル レダ・カテブ

 

 引き受け手のない重度の自閉症の青少年を預かる無許可の施設“正義の声”の代表・ブリュノと、“正義の声”に多くのスタッフを派遣している、問題を抱えた若者達のための就労支援施設“寄港”の代表・マリク。2人の活動と慌ただしい日常を描く、実話を基にした物語。

 あっちからトラブルで呼び出され、こっちから助けを求めて呼び出され、彼らの日常は目まぐるしく、それを追うこの映画も目まぐるしい。

 「政府が潰そうとした〜」というタイトルから、いつになったら政府との闘いの物語に変わっていくのだろうと思っていたのだけど、結局ほとんどそういう話にはならなかった。

 なぜなら、政府の監査の人が来たところで、それどころではないくらい目の前の問題に対処するだけでいっぱいいっぱいだから。

 そんないっぱいいっぱいの中でも、預かっている子供達や若者達にはじっくりと向き合おうとしている、ブリュノとマリク、スタッフ達の姿が温かで魅力的。

 重度の自閉症の少年・ヴァランタンの感覚で描かれる、視界がぼやけたり、音がくぐもったり逆に妙に響いて聞こえたりするシーンが何度か挟まれるのだけど、劇場で短時間体験するだけでもちょっとしたストレスを感じ、彼らが感じている苦痛をほんの少しでも、頭ではなく実感として想像することができて良かった。

 

| 観るサル(映画館篇) | 18:57 | comments(0) | -
「誰もがそれを知っている」観るサル(家篇)

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「誰もがそれを知っている」監督:アスガー・ファルハディ 出演:ペネロペ・クルス

 

 妹の結婚式のために子供達を連れて帰省したラウラが、久しぶりに再会した家族や近しい人々と楽しいひと時を過ごすが、結婚式の夜に娘が誘拐されてしまい・・・。誘拐事件をきっかけに、それぞれが抱えてきた不満が偏見を生み、互いに疑い合い疑心暗鬼に陥っていくサスペンス。

 少女の命がかかった非常事態の中で、明かされる必要のなかった秘密が明かされ、秘めておくべきだった本音が吐き出され、事件が解決したところで修復不可能なほど人間関係が壊れていく、心理的大惨事。

 嫉妬や蔑みや優越感などが絡み合う、ドロドロとした重苦しい話だけど、激しい感情をむき出しにした人々がぶつかり合う濃厚な人間ドラマは、見応えがあり面白かった。

| 観るサル(家篇) | 17:39 | comments(0) | -
「レンタルなんもしない人のなんもしなかった話」読むサル

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「レンタルなんもしない人のなんもしなかった話」レンタルなんもしない人(晶文社)

 

 国分寺からの交通費とかかった場合の飲食代だけで何もしない自分を貸し出すサービスを始めた、レンタルなんもしない人の活動を綴ったエッセイ。

 何もしない自分を貸し出すという発想も凄いけれど、何もしてくれない見ず知らずの他人を様々に活用する依頼者達の発想も面白い。

 一人では入りにくい店に一緒に入ったり、他人の目があると捗るからと掃除や勉強を見守ったり、初めて見る人の反応が知りたいからと芝居やDVDを見せられたり、何もしない赤の他人の需要って意外とあるものなのだな。

 「居てくれるだけで良いから」という慰めのような励ましのような言葉があるけれど、この本は、いるだけで実際に役に立てることがこれだけある、ということを教えてくれる。

 それから、「居てくれるだけで良い」ではなく、「居てくれるだけが良い」という需要も、世の中には結構あるものなのだな、と思った。

| 読むサル | 18:45 | comments(0) | -
「パブリック 図書館の奇跡」観るサル(映画館篇)

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「パブリック 図書館の奇跡」監督:出演:エミリオ・エステベス 出演:アレック・ボールドウィン ジェナ・マローン

 

 強烈な寒波に襲われたアメリカ・オハイオ州のシンシナティで、凍死の危険を感じたホームレス達から夜の図書館を開放するよう求められた職員のスチュアートが、彼らの居場所を求めて共に図書館に立てこもって奮闘する物語。

 前半は、図書館の日常と図書館が抱える問題が、時にコミカルに、時に厳しく描かれていて、図書館を訪れる様々な人達の姿に、ドキュメンタリー映画「ニューヨーク公共図書館」を思い出した。

 ホームレス達から頼られるスチュアートだけど、実は彼自身もどん底から本に救われて立ち直った人間だし、彼が惹かれ合っていくアパートの管理人アンジェラも様々な依存症を抱えた女性で、良い人が弱い人達を助けましたという話ではなく、弱さを抱えた人達が、痛み知る者同士助け合い、世間に向かって声を上げる話であるところが良い。

 いきなり“本を燃やせ”という歌詞の歌が流れるオープニングにも、意表を突かれて引き込まれた。

 

 

| 観るサル(映画館篇) | 14:24 | comments(0) | -
「ベルリンは晴れているか」読むサル

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「ベルリンは晴れているか」深緑野分(筑摩書房)

 

 1945年、ナチス・ドイツが戦争に敗れ、米ソ英仏の4ヵ国統治下に置かれたベルリンで、両親を失いながらも生き延びた少女アウグステが、恩人クリストフの不審死に関わっているのではないかと疑われながら、彼の死を甥に伝えるため、ひょんなことから出会った元役者の泥棒を道案内に旅をする物語。 

 ナチスに迫害された人々を描いた作品は沢山あるけれど、ナチス・ドイツが敗れた後を描いた作品にはほとんど触れたことがなかったので新鮮で、様々な対立関係がややこしくてあまりよく理解できなかったけれど、それまでと立場が逆転したり、新たな差別や悲劇が生まれたり、どこに自分を憎む相手や敵がいるか分からない混沌とした社会で生きる怖さや苦しさは伝わってきた。

 そんな状況の中で描かれる、人々の様々な生き延び方や死に方だけでも読み応えがあったけれど、さらにそこに絡む謎解きが重く、人の心の複雑さと不可解さに、ずっしりとしたものが残った。

| 読むサル | 18:43 | comments(0) | -
「はちどり」観るサル(映画館篇)

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「はちどり」監督:キム・ボラ 出演:パク・ジフ キム・セビョク

 

 1994年、ソウルで暮らす中学2年生のウニが、息苦しくもどかしい日々の中で成長していく物語。

 家では高圧的な父のせいで窮屈なうえに兄からは暴力を振るわれ、学校では何となく馴染めないまま不良扱いされている、居場所がないウニの拠り所を求める不安定な感じが、何か分かるなあと感じた。

 その分かるなあは、共感とか懐かしいというのとはちょっと違うもっと客観的なもので、ウニに対してだけではなく、ウニが傷の残るかもしれない手術をすることになって思わず泣いてしまう父の姿や、父から受けるプレッシャーを妹への暴力にぶつけてしまう兄の姿など様々なところに感じられ、誰もがどこかで触れたことがあるような普遍的な感情や問題が繊細な描写でギュッと詰め込まれた2時間13分だった。

 みんなが自分のことでいっぱいいっぱいの中、ウニの悩みにゆったりと耳を傾けることでウニの救いとなる、漢語塾の若き先生ヨンジの、さっぱりとした優しさと自分の言葉で精一杯向き合ってくれる誠実さが魅力的。

| 観るサル(映画館篇) | 18:57 | comments(0) | -
「絶対猫から動かない」読むサル

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「絶対猫から動かない」新井素子(角川書店)

 

 地震で止まった地下鉄に乗り合わせていた人々が、眠るたびにその時の地下鉄の車両に引き戻されるようになってしまい、自分達を捕らえている夢の結界を解くため、謎の存在・三春ちゃんに立ち向かっていく物語。

 夢の世界で出会った世代も境遇も異なる接点のない人々が、現実世界で何とか再会し、力を合わせて夢の世界から脱出しようとする、というところにワクワクする。

 三春ちゃんと目が合うと生気を吸い取られて死んでしまうというホラー的な緊迫感があるのにどこかほのぼのとしているのは、くすりと笑える会話のせいだけではなく、登場人物達がそれぞれ自分勝手にではなく誰かのために馬鹿が付くくらい真っすぐに筋を通す人達で、三春ちゃんも含め、この人達ならそんなにひどい事や嫌な事はしないだろうな、という信頼からくる緊迫しきらない緩さ、気持ち良さがあるからではないかと感じた。

 後半の、三春ちゃんとは何なのかを巡るエピソードの、日本的な感覚も面白い。

| 読むサル | 17:43 | comments(0) | -
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