観るサル 聞くサル 言うサル

最近観た映画や本についてのブログです。「観るサル」(映画館篇)では映画館で観た映画「観るサル」(家篇)ではテレビやDVDなどで観た映画「読むサル」では本について綴っていきます。
「彼女たちの場合」読むサル

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「彼女たちの場合は」江國香織(集英社)

 

 人と接するのは苦手というか好きではないけれど、真面目でしっかり者の17歳の逸佳と、人懐っこくて呑気な14歳の礼那。ニューヨークで暮らす従姉妹同士の2人が、家を飛び出しアメリカを旅してまわる物語。

 ものすごく子供というわけではないけれど、自由気儘な旅をするにはまだ少し早い年頃の2人が、あと何年かしたらもっと自由に動けるかもしれないけれど、今の2人にしか感じることができない、今しかできない旅をするところが面白い。

 礼那を守る保護者的な役割を担って旅の主導権を握るのは逸佳だけど、旅の途中で新しい道を拓いていくのは礼那の人懐っこさが運ぶ様々な出会いだったりして、良いコンビ。

 姉妹のように近過ぎず、友人のように対等であろうとする必要もない、従兄妹同士という独特な関係が、居心地の良いバランスになっている。

 旅行ではなく旅なので、彼女たちが滞在する土地土地の生活臭というか個性が感じられ、アメリカというのは場所によって様々な顔を持つ国なのだなあ、と感じた。

| 読むサル | 18:45 | comments(0) | -
「続 横道世之介」読むサル

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「続 横道世之介」吉田修一(中央公論社)

 

 大学を留年したためにバブル期最後の売り手市場にも乗り遅れて就職できなかった世之介の、バイトとパチンコで食い繋ぐ日々から始まった1年と、その頃出会った人々の27年後を描く、世之介の大学時代を描いた「横道世之介」の続編。

 最初の方を読みながら、あれ?世之介ってこんなにダメな奴だったっけ?と何だかがっかりしたような気分になってしまったのだけど、読み進むうちに、そうだそうだ、人の懐(と生活)にグイグイ入り込んでくる図々しい奴だけど、裏表がなくて困っている人を放っておけない良い奴でもあって、何か出来るわけでもないのに気付いたら「世之介がいてくれて良かったな」なんて思われている、このヘンテコで不思議な魅力が世之介だったと、ダメダメなのにけっこう幸せそうな世之介の日々に、楽しい気持ちになっていた。

 それにしても、世之介の物語が東京オリンピックに繋がるとは思わなかったな。

| 読むサル | 18:39 | comments(0) | -
「リボンの男」読むサル

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「リボンの男」山崎ナオコーラ(河出書房新社)

 

 自分より経済力のあるみどりと結婚し、息子のタロウが生まれてからは子育てのためバイトを辞めて主夫になった妹子(名字が小野のためついたあだ名)の日常の物語。

 最初のうちは、専業主婦が感じるモヤモヤを男女逆転で描いた話という感じなのだけど、バイトで暮らしてきた妹子が自分の行動をいちいち時給に換算してしまうのが面白い。

 そんな妹子が消費も経済活動だと気付いて辿り着く、自分は時給マイナス幾らの男なのか、という考え方が斬新。

 最近の著者の作品は、新しい価値観を訴えかけるようなものが多いな、と思う。

 妹子とみどりが出会って結婚するまでのエピソードが良かった。

| 読むサル | 18:34 | comments(0) | -
「ゴールデン・リバー」観るサル(家篇)

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「ゴールデン・リバー」監督:ジャック・オーディアール 出演:ジョン・C・ライリー

 

 1851年、ゴールドラッシュ期のアメリカ。殺し屋の兄弟イーライとチャーリーは、提督から黄金を見分ける化学式を発見した化学者のウォームを始末するよう命じられるが、ウォームの居場所を見つける連絡係のモリスがウォームの考えに心を動かされて寝返ったことから、黄金をめぐって奇妙な関係が生まれていく物語。

 イーライがクモの毒に倒れたり、チャーリーが敵の前で吐くほど酔っぱらったり、凄腕の殺し屋とは思えないような人間臭くてデコボコな兄弟の珍道中に、この物語はどうなっていくのかと先が読めない。

 成り行きで手を組むことになった兄弟とモリスとウォームが、共に砂金堀りのための作業をしながら心を通わせていく、平和なシーンが良かった。

 悲劇にしかたどり着かないだろうと思っていた物語が、思いがけず味わい深い展開を見せるラストの数分に、名作だと感じる。

| 観るサル(家篇) | 18:49 | comments(0) | -
「待ち遠しい」読むサル

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「待ち遠しい」柴崎友香(毎日新聞出版)

 

 大家さんの家の離れでマイペースな独身生活を送っていた春子が、亡くなった大家さんに代わって大家さんの娘で人恋しい未亡人のゆかりが母屋に越してきたことから、ゆかりやゆかりの甥の嫁・沙希と関わる賑やかな生活に巻き込まれていく物語。

 単純に、静かな生活がおせっかいなおばさんに乱されてしまう話というわけでもなく、やっぱり他人と関わるのは良いことだという話でもなくて、独身で結婚に興味がないという生き方をあまり理解してもらえない春子が様々な場面で感じるモヤモヤを中心に、年代の違いや生きてきた環境の違いから生まれる様々な、理解できない、分かってもらえない、分かり合えない、という感情が散りばめられた作品なのだけど、分かり合えないからといって関係が断ち切られてしまうのではなく、うまく分かり合えないけれど話はしやすい、とか、理解はできないけれど協力はしてあげたい、とか、モヤモヤを抱えながらもゆるく繋がっていく関係の描き方が、良いなと思ったし、リアルでもあると感じた。

 人ってなかなか分かり合えないものだな、としみじみ感じつつ、そのことを何だか楽観的に受け入れられるような作品だった。

| 読むサル | 17:46 | comments(0) | -
「まち」読むサル

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「まち」小野寺史宜(祥伝社)

 

 小3の時に火事で両親を亡くし、必要物資を背負って山小屋に運ぶ歩荷をしている祖父に育てられた瞬一が、「東京に出て、ほかの世界を知って人と交われ」という祖父の言葉に従って上京し、様々な人達と繋がっていく物語。

 歩荷になることを反対された瞬一が、どこか歩荷に通じるものがある引っ越し屋のバイトをして暮らしている、というところが面白い。

 大きくて頑丈な体と、真っ当で健全な感覚を持つ瞬一が、その人柄で様々な年代や立場の人達と関係を築いていく様子が心地良い。

 こんな風に良い感じの人間関係が続いたり繋がったりしていくのって、ある意味ファンタジーみたいなものかもしれないけれど、そこまで現実離れしていなくて、こんな関係があったら良いな、あるんじゃないかな、と思える、しみじみと心に沁みる小説だった。

| 読むサル | 18:48 | comments(0) | -
「火口のふたり(R15+指定版)」観るサル(家篇)

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「火口のふたり」監督:荒井晴彦 出演:柄本佑 瀧内公美

 

 元恋人であり従妹でもある直子の結婚式に出席するため故郷に帰ってきた賢治が、直子の婚約者が留守にしている5日間、2人で恋人同士だった頃のように過ごすことになるが・・・。白石一文の同名小説の映画化。

 ラブシーンがとても多い作品なのだけど、元恋人同士である以上に兄妹のように育った従兄妹同士であるという、裸を見せ合ったりすることに対する羞恥心がちょっぴり薄い肉親としての距離の近さと、従兄妹同士でこんなことをしていて良いのかという肉親であるために単純には縮められない愛し合う者同士としての距離の間で揺れ動く2人の関係がユニークで、いやらしさや抵抗感をあまり感じずに楽しめた。

 賢治と直子の気易くてあっけらかんとしたやり取りが面白く、演じている2人も自然で良い。

 ラストの、物語の意外な広がり方も印象的だった。

| 観るサル(家篇) | 17:43 | comments(0) | -
「今日はヒョウ柄を着る日」読むサル

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「今日はヒョウ柄を着る日」星野博美(岩波書店)

 

 ヒョウ柄はおばあちゃん達の武装なのではと考えてみたり、祖父が亡くなる前日のカラスと夕焼けの記憶は真実なのだろうかと他の家族の記憶を追跡調査してみたり、日常の中で気になった様々なことを考察したエッセイ。

 そんなことをわざわざハッキリさせなくても、というようなことも、キッチリと筋道を立てて解明しようとするところが面白い。

 理屈っぽいなと思うけれど、色々な事を納得したい人なのではないかとも感じる。

 私もけっこうそういうタイプなので、理屈のような屁理屈のような、色々な事を納得させてくれる文章を楽しめた。

 ちょくちょく登場して著者の検証に付き合わされたりネタになったりしている著者の両親が、良い味を出している。

| 読むサル | 18:35 | comments(0) | -
「彼方のゴールド」読むサル

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「彼方のゴールド」大崎梢(文藝春秋)

 

 運動が得意ではないのに営業部から総合スポーツ誌の編集部へ移動になってしまった明日香が、様々なスポーツの現場を取材しながら、水泳をめぐる幼馴染み2人とのほろ苦い過去と向き合っていくことになる物語。

 一章ごとに取り上げる競技が変わるので、様々な競技の魅力を描いていく作品なのかと思ったら、それ以上に、夢を追い続ける人と夢を諦めた人、スター選手とは違った立場での活躍に誇りを持つ人や、目指していたのとは違った形で夢の近くに居続ける人、夢を応援する人など、スポーツをめぐって様々な感情を持つ人々を描いた作品になっているところが面白かった。

 出版社・千石社を舞台にしたシリーズの4作目でもあるので、ライターやカメラマンなど、スポーツを伝える仕事についてたっぷりと描かれているところも楽しい。

 どちらかと言うとスポーツの周辺にいる人達をメインに描いた、一味違うスポーツ小説。

| 読むサル | 18:38 | comments(0) | -
「まく子」観るサル(家篇)

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「まく子」監督:鶴岡慧子 出演:山光 新音 須藤理彩 草剛

 

 女好きの父への反発もあって大人になることに抵抗と嫌悪を感じていた小5のサトシが、“ある星から来た”という不思議な転校生・コズエに振り回されながら、様々な事と向き合い受け入れていく、西加奈子の同名小説の映画化。

 死について考えることや、友達を信じること、他人を許すことなど、大人になっていく中で大切なことがキュッと詰め込まれた、初々しくて真っ直ぐなファンタジー。

 いつも眠そうな目をしてフラフラしているけれど、その頼りなさそうな姿のままで息子の悩みを飄々と受け止める、草剛が演じる父親がユニークで面白かった。

| 観るサル(家篇) | 18:35 | comments(0) | -
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