観るサル 聞くサル 言うサル

最近観た映画や本についてのブログです。「観るサル」(映画館篇)では映画館で観た映画「観るサル」(家篇)ではテレビやDVDなどで観た映画「読むサル」では本について綴っていきます。
「リヴァプール、最後の恋」観るサル(映画館篇)

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「リヴァプール、最後の恋」監督:ポール・マクギガン 出演:アネット・ベニング

 

 リヴァプールで暮らし小さな劇場の舞台に立つピーターのもとに、恋人だった女優のグロリアが倒れたと連絡があり、医者を嫌うグロリアを実家で看病することになったピーターが、親子ほど歳の離れた彼女との日々を回想していく、実話を基にした物語。

 駆け出しの売れない役者の青年と落ち目のオスカー女優の恋と言うとどこかドロドロしそうな感じがするけれど、互いに下心が無いので意外と自然な感じだった。

 ピーターに変な野心がなく、グロリアの名声を素直に称賛できる人だったのも良かったのだろう。

 2人の恋に反対することなく、病気のグロリアを温かく迎えるピーターの両親が素敵だった。

 グロリアがあまり魅力的に感じられず、ラブストーリーとしてはいまいち惹かれなかったのだけど、この映画で描かれる恋愛の愛ではなく慈愛の愛の方は良かったかな、と思う。

 部屋を一周する間に過去になったりする舞台っぽい場面転換や、流れる歌の歌詞で登場人物の心境を表現するミュージカル的な音楽の使い方などがユニークで面白かった。

 ラストで流れる、グロリア本人のアカデミー賞授賞式での映像がチャーミング。

| 観るサル(映画館篇) | 18:55 | comments(0) | -
「こころはナニで出来ている?」読むサル

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「こころはナニで出来ている?」工藤直子(岩波書店)

 

 詩人の工藤直子が、子供時代の思い出などを綴ったエッセイ。

 「初めての満足」や、「えいえん」に出くわした時のことなど、幼い頃のことをよくこんなにクッキリと覚えているな、と思う。

 現在の工藤直子の中に、それまでの工藤直子がマトリョーシカのようにすっぽりと収まっているようで、幼い頃の感性のまま歳を重ねているように感じられた。

 だから、幼い頃に感じたままを表現することもできるし、それを大人の言葉に翻訳して表現することもできるのではないだろうか。

 言葉では表現することが難しいような感覚や感情が、言葉でバッチリ表現されているので、著者の感じた事を追体験しているようで、詩ってこんな風に生まれるのか、詩人の眼で世界を見るとこんな風に見えるのかと、読んでいて面白くワクワクした気持ちになった。

| 読むサル | 17:31 | comments(0) | -
「犬も食わない」読むサル

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「犬も食わない」尾崎世界観 千早茜(新潮社)

 

 喧嘩ばかりしているカップルを、男・大輔の視点から尾崎世界観が、女・福の視点からは千早茜が描く、恋愛小説。

 周りからはそれぞれが「あいつはやめておいた方が良い」と言われ、本人達も相手に不満や苛立ちばかり抱えて恋人同士でいる楽しさなど感じていないように見え、どうして一緒にいるのだろうという感じの2人なのだけど、時々この2人は正反対に見えて実は似た者同士なのではと感じられる瞬間があり、そういうところに「別れたらいいのに」と思われながらもズルズルと続いてしまう関係の説得力があって面白かった。

 福の視点から描かれるパートは、女の嫌な部分もさらけ出した毒舌な文章に、分かる分かると笑ってしまうけれど、大輔の視点で描かれたパートは、男のダメさをさらけ出しているとも言えるのかもしれないけれど、思っているのに上手く言えないみたいなエピソードが多くて、何だか実は良い奴みたいに見えてずるいな、と思ってしまった。

 そういう見方をしてしまうのが、女の意地悪さなのかもしれないけれど。

| 読むサル | 18:45 | comments(0) | -
「希望の灯り」観るサル(映画館篇)

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「希望の灯り」監督:トーマス・ステューバー 出演:フランツ・ロゴフスキ

 

 巨大な倉庫のようなスーパーマーケットで在庫管理係として働くことになった訳ありの青年クリスティアンが、面倒見の良いベテランのブルーノに色々な事を教わったり、年上の女性マリオンに恋をしたりしながら、新人を卒業するまでの物語。

 窓が無く昼か夜かも分からない中で重い商品を運び続ける、無機質であまり恵まれているとは言えない環境の職場だけれど、程良い距離を保ちながらも互いを気遣い合う店内の人間関係はアットホームで温かなので、どこか世間から切り離されたささやかなユートピアのようにも感じられる。

 美しい音楽にのせて滑るようにフロアを行き来するフォークリフトや、クリスティアンがマリオンを見つける度に聞こえる波の音など、音楽と音の使い方がユニークで魅力的。

 後半、悲しい出来事の後でクリスティアンに与えられる希望に、色々あっても人生や生活は続いていくのだという、生きていくことの力強さを感じた。

| 観るサル(映画館篇) | 17:16 | comments(0) | -
「ゲティ家の身代金」観るサル(家篇)

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「ゲティ家の身代金」監督:リドリー・スコット 出演:ミシェル・ウィリアムズ 

 

 世界一の大富豪と言われるゲティの孫ポールがローマで誘拐され、ゲティがマスコミの前で身代金は支払わないと宣言したことから、ポールの母ゲイルは息子を救うために犯人とゲティの両方と闘うことになる、実話を基にした物語。

 現実離れした財産を持つゲティを巡る誘拐事件は、一般人の感覚では理解しがたい、というかあまり理解したくないようなゲティの対応のせいもあり、こじれて長期化していき、犯人の動きもゲティの動きも先が読めず、最後までハラハラさせられ続けた。

 ポールを特別な存在だと言いながらも、その命を救うための費用は出来る限り節約しようとする、金で支配し金に支配されるゲティの姿がグロテスクで、お金の持つ魔力と恐さを感じた。

| 観るサル(家篇) | 17:44 | comments(0) | -
「ダンボ」観るサル(映画館篇)

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「ダンボ」監督:ティム・バートン 出演:コリン・ファレル エヴァ・グリーン

 

 サーカスで生まれた巨大な耳を持つ子象のダンボ。売られてしまったダンボの母親を取り戻すため、母を亡くしたサーカス団の姉弟ミリーとジョーが、ダンボと共に奮闘していく物語。

 母のいない寂しさを抱えながら、ダンボには母を取り戻させてあげようとするミリーとジョーの姿が健気。

 ダンボの母を取り戻したからといって姉弟の母親が戻ってくるわけではないけれど、片腕を失くして戦争から戻って以来、サーカスの花形だったプライドを傷付けられながらも生活のために必死で子供達とはすれ違い気味だった姉弟の父ホルトが、子供達の行動に巻き込まれて変わっていき、ミリーとジョーは父との絆を取り戻すことになる、というところが良かった。

 夢を持つことと信じることの大切さが何度も語られるのだけど、それを象徴するような、何かのため、誰かのために一生懸命に飛ぶダンボの姿にグッときた。

 

| 観るサル(映画館篇) | 18:01 | comments(0) | -
「ブラック・クランズマン」観るサル(映画館篇)

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「ブラック・クランズマン」監督:スパイク・リー 出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン アダム・ドライバー

 

 黒人の新米刑事ロンが、白人至上主義団体KKK(クー・クラックス・クラン)の団員募集に電話して気に入られてしまい、先輩の白人刑事フリップを代役に、会うのはフリップ電話はロンという二人一役で危険な潜入捜査を繰り広げる、実話を基にした物語。

 実は代役のフリップ自身もKKKから差別され攻撃される対象のユダヤ人であるというところが、よりハラハラさせられて引き込まれるし、それまでユダヤ人であることをあまり意識せずに生きてこられたフリップが、潜入捜査によってそのことを意識するようになり、どこか他人事だった黒人差別を自分事のように受け止められるようになっていくところが良かった。

 KKKによる人種差別という大きな問題だけでなく、警察内での白人刑事によるロンへの嫌がらせや、ロンが潜入捜査で出会った黒人活動家達の警察に対する過剰な憎しみと嫌悪感(そうなる気持ちも理解できないではないけれど)、KKKメンバーの妻に対する夫の見下した態度など、様々な形の差別も描かれているところに、フェアで信用できる作品だと感じる。

 観客を物語の世界から現実の世界に引きずり出すようなラストに衝撃を受け、この変わらない世界で、ロンやフリップは今どうしているのだろうかと気になった。

| 観るサル(映画館篇) | 18:55 | comments(0) | -
「たちあがる女」観るサル(映画館篇)

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「たちあがる女」監督:ベネディクト・エルリングソン 出演:ハルドラ・ゲイルハルズドッティル

 

 町の合唱団で講師をしているハットラが、愛する大地と自然を守るため、アルミニウム工場と政府を相手に孤独な闘いに挑む物語。

 母になることを夢見る一見朗らかな普通のおばちゃんが、野山を駆け巡り、矢を放って送電線をショートさせたり、追跡してくるドローンを射落としたり、過激な活動を黙々とこなすところが、格好良いけれどどこかユーモラスで応援したくなる。

 ハットラの心境を表現する音楽を、実際にその場に楽団やコーラス隊が登場して奏でるのが面白く、野原の真ん中や部屋の隅っこで飄々と演奏する彼らの姿は、ほとんどのシーンで主人公や周りの人々には見えない存在として描かれるのだけど、彼ら自身はハットラを心配そうに見守ったり、彼女の活動をツイッターで拡散したり、そこに存在している気満々で存在感たっぷりなのがクスリと笑える。

 ハットラが養子となる少女と出会うシーンの柔らかさにウルッときて、母としての強さを手に入れた彼女は、これからも逞しく闘い続けていくのだろうな、と思った。

| 観るサル(映画館篇) | 18:57 | comments(0) | -
「青少年のための小説入門」読むサル

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「青少年のための小説入門」久保寺健彦(集英社)

 

 そこそこ優秀な中2の一真が、ひょんなことから読み書きが困難なディスレクシアという障がいを抱えた不良青年・登とコンビを組み、2人で作家デビューを目指す物語。

 アイデア担当の登と文章担当の一真が、一真が登に朗読するという形で様々な本を読みまくり、気に入ったシーンを記憶だけを頼りにノートに再現してみたり、出来るだけ短い言葉でその小説を説明してみたり、自分達で考えた出したやり方で小説の研究と特訓を重ねていくところが面白かった。

 何となくタイトルは聞いたことがありそうだけど読んだことはないような名作が沢山登場し、色々な読み込み方のアイデアも登場するので、2人の作家修行が読者にとってはタイトル通り小説入門にもなっている。

 そういうハウツーもの的な面白さだけでなく、人間ドラマもしっかりと描かれていて、ユニークで切ない青春小説としても引き込まれた。

| 読むサル | 17:31 | comments(0) | -
「5パーセントの奇跡 〜嘘から始まる素敵な人生〜」観るサル(家篇)

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「5パーセントの奇跡 〜嘘から始まる素敵な人生〜」監督:マルク・ローテムント 出演:コスティア・ウルマン

 

 病気で視覚の95パーセントを失ってしまった青年サリーが、ホテルマンになるという夢を叶えるため、見えないことを隠して一流ホテルの研修生として奮闘する、実在の人物をモデルにした物語。

 突然視力を失っても進路や生き方を変えることなど考えず、驚異的な集中力で聴覚と記憶力を鍛えてそれまでと同じように色々な事をこなそうとするサリーの姿が、危なっかしいけれど面白い。

 そんなサリーの危うさをフォローする、見えないことを知ってしまった人々の姿も魅力的で、彼らがサリーを助けるだけでなく、サリーも彼らの力になれる場面があるところが良かった。

 何でも自分で何とかしようと頑張ってしまうサリーが、色々な事を背負い過ぎて悪循環に陥ってしまう後半は見ていてちょっと辛かったけれど、その事によって彼の障がいとの向き合い方が変わったことにはホッとしたし、障がいが無いかのように振る舞えることが障がいを乗り越えるということではないのだと、改めて気付かされた。

| 観るサル(家篇) | 16:35 | comments(0) | -
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