観るサル 聞くサル 言うサル

最近観た映画や本についてのブログです。「観るサル」(映画館篇)では映画館で観た映画「観るサル」(家篇)ではテレビやDVDなどで観た映画「読むサル」では本について綴っていきます。
「東京カウガール」読むサル

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「東京カウガール」小路幸也(PHP)

 

 夜の公園で若い女性がヤバそうな男達を叩きのめしているところに遭遇し、彼女に魅せられてしまったカメラマン志望の英志が、ひょんなことから出会った奈子があの女性なのではないかと気付き、危険を冒す彼女を守ろうと奮闘する物語。

 荒唐無稽と言えば荒唐無稽な話なのだけど、秘密を抱えて探り合いながらも初々しく距離を縮めていく若い2人の恋に、裏社会にも少し通じているゲイで喫茶店のマスターをしている英志の叔父・繁や、意外な過去を持つ奈子の祖父など、2人のことを大切に思う曲者の大人達が絡み、ドキドキワクワク引き込まれる。

 英志が幼い頃に巻き込まれた事件の話や、繁の過去など、この物語の番外編的な話も読んでみたいな、と思った。

 

| 読むサル | 19:07 | comments(0) | -
「オン・ザ・ミルキー・ロード」観るサル(映画館篇)

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「オン・ザ・ミルキー・ロード」監督:エミール・クストリッツァ 出演:エミール・クストリッツァ

 

 戦争をしている村でロバにまたがり前線の兵士達にミルクを届けるコスタが、結婚を迫ってくる村娘ミレナが英雄である兄のために連れてきた美しい花嫁と恋に落ち、彼女が英国将校から追われる身でもあったことから決死の逃亡劇を繰り広げることになる、愛と戦争の物語。

 人間も動物も同じように生きて死に、食べて踊る、クストリッツァ作品らしい生命力に溢れた世界が楽しい。

 そのエネルギーは悲劇と喜劇、現実と幻想をいっしょくたにして飲み込んでいく。

 しかし、そんなハチャメチャな世界でも、人を殺めれば心が痛み、大切な人が死ねば胸が張り裂けそうになる。

 そういう苦さや痛みがしっかりと描かれているから、戦争に対してNOと声を上げる、切実な思いが伝わってきた。

 コスタの演奏に合わせて踊るハヤブサや、ミルクを飲むヘビ、屠られたブタの血で水浴びをするガチョウ達など、存在感たっぷりな動物達が魅力的な、力強くて切ないラブストーリー。

 

| 観るサル(映画館篇) | 17:51 | comments(0) | -
「手のひらの京」読むサル

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「手のひらの京」綿矢りさ(新潮社)

 

 図書館で働く長女・綾香、会社員の次女・羽依、大学院生の三女・凛。京都で暮らす三人三様な三姉妹の物語。

 はんなりとか風情があって美しいとか、そういう京都らしさはないけれど、羽依を悩ませるお局様達のいけずな攻撃や、土地が持つパワーによって今を逃したら一生京都から出られない気がするから、という凛の東京で就職したい理由など、これはこれで京都ならではの物語に感じられて面白かった。

 自分がモテることに自信があって気が強い羽依の、時々抑えきれずに無駄に闘ってしまう暴れっぷりがおかしく、年を重ねて不器用さが複雑になってしまった綾香の恋の行方にはほのぼの。

 コミカルで、ちょっぴり毒の効いた、活きの良い家族小説。

 

| 読むサル | 17:27 | comments(0) | -
「ストレイト・アウタ・コンプトン」観るサル(家篇)

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「ストレイト・アウタ・コンプトン」監督:F・ゲーリー・グレイ 出演:オシェア・ジャクソン・ジュニア

 

 伝説的ヒップホップグループ“N.W.A”の結成から分裂、その後までを描く、実話を基にした物語。

 成功してリッチになってドラッグや酒に溺れて、というようなありがちなミュージシャンの栄光と挫折の物語とは一味違うところが良かった。

 ドラッグや銃が身近にあり、常に疑われ差別される環境の中で生きてきた5人が、自分達の現実を激しい言葉でストレートにラップで表現してスターになっていく前半は小気味良い。

 しかし、スターになっても差別は変わらず、一方で音楽にビジネスが絡んだことで、グループ内に不協和音が響き始める。

 恩人だったり仲間だったり、それぞれに大切にするものが違って考えが違うから、すれ違ったりぶつかり合ったりしてしまい、やがてそれぞれが別々の場所で別々の試行錯誤をしながら生きていく姿に、もどかしさとほろ苦さを感じた。

 ヒップホップが好きなら音楽シーンも楽しめるだろうけれど、そうでなくても十分見応えのある作品だった。

 

| 観るサル(家篇) | 19:00 | comments(0) | -
「あヽ、荒野」観るサル(映画館篇)

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「あヽ、荒野 前篇」監督:岸善幸 出演:菅田将暉 ヤン・イクチュン ユースケ・サンタマリア

 

 2021年、東京オリンピック後の新宿を舞台に、母親に捨てられ仲間に裏切られ怒りを抱えて生きる少年院から出たての新次と、父親から暴力で押さえつけられている吃音で上手く喋ることができない床屋で働く建二が出会い、練習生を探していた元ボクサーの堀口から声をかけられボクシングを始めたことから変わっていく、寺山修司の同名小説の映画化。

 孤独を抱えた者達が出会い、互いに影響しあいながら肩を寄せ合って生きる姿は、波乱の予感はたっぷりとあるけれど、とりあえず今はまだホッと温かく、心に沁みる。

 狂犬のように猛々しいけれどふとした瞬間に少年のような純粋さを覗かせる新次と、激しい思いを胸に秘めながらも痛々しいほど優し過ぎる建二、胡散臭そうだけど人として信頼できる堀口を始め、中心人物だけでなく周りの人達も含めて、登場人物の描き方に深みがあって引き込まれる。

 メインの物語の間に、2021年の空気を強く感じさせる大学生の自殺抑止研究会のエピソードが挟まれるのだけど、そこだけでもう1本別の映画を観ているようで、そのミスマッチも含めてユニークで面白い気もするし、その部分が無ければここまで長くならなくて新次と建二の物語に集中できて良かったかな、という気もした。

 

| 観るサル(映画館篇) | 17:32 | comments(0) | -
「僕のワンダフル・ライフ」観るサル(映画館篇)

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「僕のワンダフル・ライフ」監督:ラッセ・ハルストレム 出演:ジョシュ・ギャッド(声) デニス・クエイド

 

 命の恩人である少年イーサンと共に生き深い絆で結ばれた犬のベイリーが、様々な犬に生まれ変わりながらイーサンとの再会を目指す物語。

 メインはベイリーとイーサンの物語なのだけど、彼らの出会いと再会のエピソードの間に挟まれる、ベイリーの警察犬としての犬生と内気な女性の飼い犬としての犬生のエピソードが、何てことないのだけどちょっと良い。

 どちらも孤独な人を癒し、助け、自らも良く生きたと思える犬生で、イーサンとの犬生で様々な人達からたっぷりと愛情を注がれて生きたから、ベイリーはこういう生き方をする犬になったのだと感じられる。

 匂いの記憶が頼りの単純な犬の視点で描かれるので全体的にシンプルなお話だけど、ラストはそうなるだろうと分かっていても、やっぱりジーンときてしまった。

 

 

 

| 観るサル(映画館篇) | 17:44 | comments(0) | -
「若様とロマン」読むサル

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「若様とロマン」畠中恵(講談社)

 

 明治時代の東京を舞台に、元旗本で今は下っ端警察官の長瀬や園山をはじめとする若様組の面々と、外国人居留地の洋菓子職人・真次郎が活躍するシリーズの3作目で、今回は、戦争を阻止するため発言力を持つ人々を身内にして味方を増やそうとする小泉商会当主の企てによって、若様達が次々と見合いをさせられてしまう物語。

 貧しくて嫁になど縁がないと思っていた若様達が、様々な名家に強引に売り込まれてしまうドタバタがおかしい。

 様々な思惑が絡み合う見合いの席は、ハプニングや見合い相手から持ち込まれた相談事によって結局は謎解きや事件解決の場になってしまうのだけど、その結果によって縁が結ばれたり結ばれなかったりもするので、事件と見合いの両方の行方が楽しめる。

 しかし、そんなほのぼのとした楽しい話の裏には戦争の影がちらついていて、変わっていってしまう未来の予感に、読後感はちょっぴり切なくほろ苦かった。

 

| 読むサル | 17:45 | comments(0) | -
「50年後のボクたちは」観るサル(映画館篇)

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「50年後のボクたちは」監督:ファティ・アキン 出演:トリスタン・ゲーベル アナンド・バドビレグ・チョローンバータル

 

 アルコール中毒の母親についての長い作文を書くなどして周りから浮いているマイクと、マイペースに振る舞いヤバイ雰囲気を漂わせているロシアからの転校生チック。マイクが恋するクラスのマドンナ・タチアナの誕生パーティーにクラスで自分達だけ招待されなかったことがきっかけで距離を縮めたはぐれ者の2人が、盗んだ車でチックの祖父が住むワラキアを目指す物語。

 14歳なのに酒臭くていつもかったるそうにしているけれど、豪快過ぎて抜けているところもあり、どこかとぼけた愛嬌を持つチックが魅力的。

 父親や教師やクラスメート達が押し付けてくる普通の枠に収まり切れないために個性がコンプレックスにすり替わってしまっているマイクが、周りを気にせず突き進むチックとハチャメチャな旅をするうちに伸び伸びと解放されていく姿に、観ているこちらも解放感を感じた。

 危なっかしいけれどチャーミングで、マイクへの愛情がしっかりと感じられる母親の描き方も良い。

 マイクと母親の間には、マイクの作文を非難した教師なんかには理解できない、絆と愛情がちゃんとあるのだ。

 

| 観るサル(映画館篇) | 17:51 | comments(0) | -
「三度目の殺人」観るサル(映画館篇)

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「三度目の殺人」監督:是枝裕和 出演:福山雅治 役所広司 広瀬すず 

 

 裁判に感情や真実は必要ないと考える弁護士の重盛が、クビになった工場の社長を殺害した容疑で捕まった殺人の前科を持つ三隅の弁護を担当することになり、殺害の事実は認めながらもコロコロと証言を変える三隅に翻弄されていく物語。 

 重盛と事務所の弁護士達の仕事が真実を追求することではなく、自分達で立てた闘い方の方針に沿って残された証拠や状況からいかに論理的に筋の通った説を導き出すかであるところが、事件の欠片を集めながら理屈のパズルを組み立てるようで面白かった。

 ただし、そうして組み立てたパズルが真実を表しているかどうかは分からないけれど・・・。

 ドライな重盛がことさら特殊な存在なのではなく、そもそも弁護士という仕事が感情より論理的であることを優先しがちなのではないかという印象を受けたのだけど、だからと言って感情も無視できない裁判の大きな要素ではあって、そのあたりの感情と理屈のせめぎ合いがスリリングで引き込まれたし、自分ならどちらを軸に判断するだろうかと考えさせられた。

 

 

| 観るサル(映画館篇) | 17:48 | comments(0) | -
「図書室のピーナッツ」読むサル

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「図書室のピーナッツ」竹内真(双葉社)
 親友の紹介で司書の資格は持っていないけれど高校の学校司書として働くことになった詩織が、試行錯誤しながら司書として成長していく、「図書室のキリギリス」の続編。
 詩織の司書としての責任感が増した分だけ、前作よりも司書とはどういう存在なのかが掘り下げて描かれているように感じた。
 今回は“調べる”ということが物語の軸になっているのだけど、知りたい答えに辿り着くまでの過程が、一つ一つ謎を解き明かしていくミステリーとしても楽しめるし、図書館で調べものをする時のガイドとしても、こういう方向から探すやり方もあるのかとヒントになり、実際に活用してみたくなる面白さがあった。
 ささやかな恋のエピソードもチャーミング。

 

 

| 読むサル | 16:11 | comments(0) | -
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