観るサル 聞くサル 言うサル

最近観た映画や本についてのブログです。「観るサル」(映画館篇)では映画館で観た映画「観るサル」(家篇)ではテレビやDVDなどで観た映画「読むサル」では本について綴っていきます。
「モリのいる場所」観るサル(映画館篇)

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「モリのいる場所」監督:沖田修一 出演:山崎努 樹木希林 加瀬亮 吉村界人

 

 自宅の庭を毎日じっくり散歩することを日課として、30年以上敷地の外に出たことがなかったという逸話を持つ画家・熊谷守一(モリ)の、来客が多くて賑やかだったある夏の日の物語。

 地面に横になってじっと蟻を見つめ続けたり、見覚えのない枝に目を止めて「お前、生えてたか?」と声をかけたり、視点が低いことと独特な形の帽子のせいもあって、庭にいるモリは庭を治める小人の王のように見える。

 そんな浮世離れしたモリと、画商や近所に建設中のマンションのオーナーなど次々と訪れる俗世的な人々の両方を、ゆらりゆらりと柳のようなしなやかさとしたたかさであしらい、熊谷家の日常を回している妻・秀子が良い。

 彼女が「ああ、そうですか」という時の、どうでも良さそうだけど突き放すほど冷たくもない絶妙なニュアンスに、クスリとした笑いを誘われる。

 ちっちゃな楽園に暮らす等身大の巨人の話であり、おかしくて温かい夫婦の物語。

 

| 観るサル(映画館篇) | 19:06 | comments(0) | -
「乗りかかった船」読むサル

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「乗りかかった船」瀧羽麻子(光文社)

 

 造船会社を舞台にした短編集。

 不本意だったり思いがけなかったりする部署に配属された主人公が、そこで居場所を見つけていくような話が多いのだけど、溶接や設計など実際に船を造るのに関わる仕事もあれば、営業や人事などの仕事もあり、若い女性社員の話もあれば、年配の男性役員の話もあり、バラエティに富んでいる。

 造船会社という馴染みがなくて規模の大きな職場が舞台になっていることで、会社というのは色んな仕事をする色んな人達がいて成り立っているものなのだな、と改めて気付かされた作品だった。

| 読むサル | 16:18 | comments(0) | -
「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」観るサル(映画館篇)

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「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」監督:ショーン・ベイカー 出演:ブルックス・キンバリー・プリンス ウィレム・デフォー

 

 カリフォルニア州のディズニー・ワールドの近くにある安モーテルでその日暮らしの母親と暮らす6歳の少女ムーニーの、仲間達とどこでも遊び場にしてしまうヤンチャな日々を描いた、ひと夏の物語。

 モーテルの2階から駐車場の車に向かってツバ吐き競争をしたり、通りすがりの大人達に小銭をねだって買ったアイスを分け合ったり、幽霊屋敷だと言って廃屋に入り込んだり、やりたい放題大暴れのムーニー達の日々は、危なっかしくてハラハラさせられるけれど、どこまでも自由に弾けていて、カラフルで眩しい。

 ムーニーをとても愛していて可愛がってくれるけれど、子供っぽくて地道な生活を送る術を持たない母親の姿に、ムーニーの生活が彼女次第だと思うと、もどかしくなるし、切なくなる。

 まっとうな感覚でモーテルの住人達を見守り支える、管理人のボビーが良い。

 よくわからないラストだけど、大人達が何も出来ずに立ち尽くすばかりだったのに対し、迷わず行動した幼い友情には心を打たれた。

| 観るサル(映画館篇) | 18:48 | comments(0) | -
「午後8時の訪問者」観るサル(家篇)

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「午後8時の訪問者」監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ リュック・ダルデンヌ 出演:アデル・エネル

 

 町の小さな診療所で代理の医師を務めるジェニーは、ある夜、診療時間を過ぎてから鳴ったベルに出ようとした研修医のジュリアンを止めてしまうが、翌日そのベルを鳴らした少女が身元不明の遺体で見つかったことから罪の意識に苛まれ、せめて彼女が誰だったのかを明らかにしようと奮闘していく物語。

 最初はジェニーがぶっきらぼうで素っ気なく見えるのだけど、彼女が規則厳守の冷たい人間ではなく、むしろ患者のために時間や立場を越えて駆け回る医師であることが少しずつ明かされていくため、あの夜に限って扉を閉ざしてしまったことが余計に胸に刺さる。

 悲劇的な偶然を招いてしまった自分の弱さにとことん向き合ったジェニーが、必死になって様々な人達の心の扉を叩いて回ったことで、その人々もそれぞれの心の弱さと向き合うことになり、真実が明らかになっていく。

 ほろ苦くて切ないと同時に、とても真っ直ぐで清々しいミステリーだった。

| 観るサル(家篇) | 17:28 | comments(0) | -
「オー・ルーシー!」観るサル(映画館篇)

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「オー・ルーシー!」監督:平柳敦子 出演:寺島しのぶ 南果歩 忽那汐里 ジョシュ・ハートネット

 

 冴えないOLの節子が、ちゃっかり者の姪・美花から代わりに通ってくれるよう頼まれた英会話教室で、アメリカ人講師ジョンから親密なハグで迎えられ金髪のカツラとルーシーというアメリカンネームを与えられたことをきっかけに変化し始め、突然消えてしまったジョンと美花を追ってカリフォルニアへ向かう物語。

 会社に馴染めず(もしくは馴染まず)、ふてぶてしいけれど他人のことなどどうでもいいというほどには開き直り切れない不器用さを持つ節子の姿に共感する。

 そんな節子が、仲の悪い姉・綾子に付いてこられてしまったもののカリフォルニアに来て少し解放され、なりふり構わず行動して嬉しくなったり怒ったり傷ついたりする姿と、それぞれに少しずつ相手より優位であろうとする血の繋がった女三人(節子、綾子、美花)の力関係が、見ていて痛痒かった。

 コミカルなところもあるけれど、ジワジワと効いてくるヘヴィーさのある作品で、安心できない人物ばかりの中、役所広司が演じる地味で誠実そうなトムの存在に、ちょっぴり救われた。

| 観るサル(映画館篇) | 18:55 | comments(0) | -
「泳ぎすぎた夜」観るサル(映画館篇)

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「泳ぎすぎた夜」監督:五十嵐耕平 ダミアン・マンヴェル 出演:古川鳳羅 古川蛍姫

 

 魚市場で働く父親が出かけた直後の、まだ家族が寝静まる深夜に目覚めてしまった少年が、おやつを食べたり絵を描いたり一人ぼっちの自由な時間を満喫し、翌日、描いた絵を父に届けるため、小学校に背を向けうろ覚えの魚市場を目指す物語。

 少年が一直線に目的地に向かうのではなく、思いつくまま気の向くまま、勝手気儘に小さな冒険を楽しんでいる雰囲気なのがユニーク。

 吠えてくる犬に吠え返したり、デパートのフードコートで無料の水を飲んで一休みしたり、子供って自由で逞しいなと思った。

 ナレーションもなければセリフもない、凄くシンプルな作品なのにちょっと分かりにくいところがあると感じてしまうくらい何の説明もない作品なのだけど、細かい事は気にせずに、掴みどころのないエネルギーを溢れさせる少年を、ただ見守り、愛でていれば良い作品なのだろう。

| 観るサル(映画館篇) | 17:53 | comments(0) | -
「つぼみ」読むサル

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「つぼみ」宮下奈都(光文社)

 

 清々しい読後感の短編集。

 前半の3作は華道教室を軸に微かに繋がっている話で、華道を通して様々な感性を持つ人々が描かれているところが新鮮で面白かった。

 相手の持つ感性に惹かれて人を好きになるって、何か素敵だな。

 他にも、主人公の考えや思い込みがひっくり返された時に、ふと世界が明るくなるような解放感を感じさせてくれる作品や、しみじみとした温かさを感じさせてくれる作品などがあり、読んでいて気持ちの良い短編集だった。

| 読むサル | 18:56 | comments(0) | -
「タクシー運転手 約束は海を越えて」観るサル(映画館篇)

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「タクシー運転手 約束は海を越えて」監督:チャン・フン 出演:ソン・ガンホ トーマス・クレッチマン

 

 1980年、韓国の光州で、民主化を求めてデモをする学生達や市民を軍が暴徒とみなして銃撃し、多数の犠牲者が出た光州事件。その事件の最中に真実を取材するため光州に向かったドイツ人記者ピーターと、高額の報酬が目当てで事情もよく知らないまま彼を乗せたソウルのタクシー運転手キムの、実話をモデルにした物語。

 妻を亡くし幼い娘と2人で経済的に苦しい生活を送るキムにとって、デモは仕事の邪魔をする憎らしいものであり、大学まで通わせてもらいながらデモばかりしている学生達は腹立たしいもので、真実が隠されている社会でそんな感覚を抱いて暮らしていた普通の人キムを主人公に、この事件を描いているところが良かった。

 困っている人を放っておけないお人好しではあるけれど、他人のことより自分と娘のことを優先してきたキムが、迷いながらも娘への想いを振り切って他人のために行動を起こさずにはいられなかったほど、そこには“なぜこんな事が起こるのだ”という怖さと怒りと悲しみを感じさせる状況があったのだ、

 命懸けの報道と言うと危険の中に飛び込んでいったジャーナリストにばかりスポットライトが当たるけれど、今作を観て、その中には真実を伝えてくれるという希望を託して彼らを助けたり守ったりした普通の人々の命も懸かっていたのだと思った。

 ただ、そこで失われた命が本当は失われずに済んだ命だったのではないかというモヤモヤも、感じずにはいられなかったけれど。

| 観るサル(映画館篇) | 14:50 | comments(0) | -
「きみへの距離、1万キロ」観るサル(映画館篇)

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「きみへの距離、1万キロ」監督:キム・グエン 出演:ジョー・コール リナ・エル=アラビ

 

 アメリカのデトロイトから遠隔操作のロボットで北アフリカにある石油パイプラインの監視をしている失恋したてのゴードンが、画面の中に悲しそうな美しい女性アユーシャを発見し、望まない結婚を迫られている彼女が恋人と国外へ逃げようとしているのを知って助けようとする物語。

 クモのような形をしていてチョコチョコとしか動けないうえにすぐ故障する、旧式ロボットの奮闘が微笑ましい。

 そのロボットを操作するゴードンの奮闘の方は、アユーシャを勝手に追跡のターゲットに設定して家を探り出したり、ロボットを一台壊れたことにして彼女の近くに待機させたり、野暮なことを言わせてもらえば、職権乱用し過ぎだし見守っているというよりほとんどストーカーだろうと突っ込みたくなるところもあるのだけど、彼女のためだけでなく迷子になった盲目の老人のためにも規則を破って施設の外まで道案内する優しさがあるので、ダメな奴ではあるけれど悪い奴ではないのだろうと思え、クライマックスのアユーシャのためになりふり構わない姿には、ちょっと心動かされるものがあった。

 新しいけれどどこか懐かしい、不器用な恋と出会いの物語。

| 観るサル(映画館篇) | 17:51 | comments(0) | -
「22年目の告白 私が殺人犯です」観るサル(家篇)

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「22年目の告白 私が殺人犯です」監督:入江悠 出演:藤原竜也 伊藤英明

 

 1995年に起こった連続殺人事件で、あと少しのところで犯人を取り逃したうえに先輩刑事を死なせてしまった牧村は、時効になった後も事件を追い続けていたが、ある日、曾根崎という男が自分が犯人だと事件の手記を出版して世間を騒がせ始め・・・。韓国映画「殺人の告白」のリメイク。

 エンターテインメントらしく派手に好奇心を煽ってスリリングに楽しませてくれる一方で、無責任に楽しむ世間の人々やマスコミを皮肉ったり、生命の危機を体験した2人の人間のその後の死に対する感覚の違いを対比するように描いたり、物語の背景に深みがあって見応えがある。

 「殺人の告白」の方も観たのだけど、今作はほぼ別物というくらいアレンジされている印象で、特にラストの違いにはお国柄の違いが感じられて面白かった。

| 観るサル(家篇) | 19:06 | comments(0) | -
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