観るサル 聞くサル 言うサル

最近観た映画や本についてのブログです。「観るサル」(映画館篇)では映画館で観た映画「観るサル」(家篇)ではテレビやDVDなどで観た映画「読むサル」では本について綴っていきます。
「ひかり生まれるところ」読むサル

JUGEMテーマ:読書

「ひかり生まれるところ」まはら三桃(小学館)

 

 三雲神社の神職をしている希美が、些細なきっかけで蘇ってしまった中学時代の心の傷と向き合っていく物語。

 あまり触れる機会のない神社で働く人達の日常を描いているところが興味深く、優秀な同い年のイケメンが転勤してきて自分より上の役職について以来機嫌が悪い先輩に気を使ったり、個性的過ぎる巫女達に頭を悩ませたり、職場として描かれる神社の姿が新鮮で面白い。

 自分は神に仕える資格があるのかと悩みながら奮闘していく現在と、生真面目な母に育てられ生真面目に育った希美が学校という社会の中で少しずつ躓いていく子供時代が交互に描かれていくのだけど、子供時代の希美に自分に通じるものを感じて身につまされた。

 希美の過去の乗り越え方に少し物足りなさを感じたのだけど、あとがきを読んだら腑に落ちたというか、作者の伝えたいことに共感できた。

 

 

| 読むサル | 17:34 | comments(0) | -
「淵に立つ」観るサル(家篇)

JUGEMテーマ:映画

「淵に立つ」監督:深田晃司 出演:浅野忠信 筒井真理子 古舘寛治 太賀

 

 小さな町工場を営む利雄と妻の章江、一人娘の蛍はそれなりに幸せに暮らしていたが、ある日、刑務所から出所したばかりの利雄の古い友人・八坂が訪ねてきて住み込みで働き始めたことから、一家の運命が狂っていく物語。

 重い話を淡々と描いた作品なのだけど、人の心の分からなさにはスリラーのような緊張感があり、皮肉過ぎる状況などどこか過剰な部分はブラックコメディのようにも感じられ、複雑に絡み合う登場人物達の感情と関係に、最後までグッと引き込まれた観た。

 章江の前半と後半での変わりっぷりが、衝撃的であると同時に、人ってこんな風に変わってしまうものなのだとリアルでもあって、筒井真理子の演技が凄い。

| 観るサル(家篇) | 18:56 | comments(0) | -
「永い言い訳」読むサル

JUGEMテーマ:読書

「永い言い訳」西川美和(文藝春秋)

 

 突然のバス事故で妻・夏子を亡くしたのにうまく悲しめなかった作家の衣笠幸夫が、夏子の親友で共に事故で亡くなった大宮ゆきの夫・陽一とその子供達に出会い、彼らとの交流の中で変わっていく物語。

 映画版と物語はほぼ同じなのにずいぶん違う印象を受けるのは、物語が色々な人達の視点で描かれているからかもしれない。

 他人から見た幸夫の姿の中に、本人が気付いていない気持ちのヒントがあったり、幸夫が他人をどう見ているのかという描写に、幸夫の人間性や本音が強く感じられたり、後半に“人生は他者だ”と言う言葉が出てくるのだけど、それってこういうことでもあるのではないかと思った。

 無意識のうちに見て見ぬフリをしているような感情にまでスポットライトを当ててあっさりと曝す人間描写の鋭さに、うわぁ意地悪だなと何度も思いつつ、登場人物を容赦なく追い詰めた分だけ、辿り着いた安らぎには説得力のあるぬくもりを感じた。

| 読むサル | 17:06 | comments(0) | -
「我が名は、カモン」読むサル

JUGEMテーマ:読書

「我が名は、カモン」犬童一心(河出書房新社)

 

 劇団自由演技のシニア統括マネージャーで元役者の加門慶多と、やっぱり芝居の傍にいたいと広告代理店から転職してきた新人マネージャーの中村祥子が、演劇フェスで40年前の幻の作品を上演するために奮闘していく物語。

 加門と中村のデコボココンビが、大御所達の我が儘気ままに振り回され、若手達の我が儘気難しさに振り回されながら、ただ振り回されるのではなく自らも困難の先にある傑作を求めて突き進んでいく、芝居に魅せられてしまった熱い人間達の、ドタバタ人情コメディという感じ。

 現代の話なのだけど、少し上の世代が中心になった話のせいか、どこか懐かしい雰囲気がある。

 映画監督である著者がこんな風に情熱的に舞台の世界を描いたことが、何だか意外に感じられた。

| 読むサル | 17:34 | comments(0) | -
「約束の地、メンフィス テイク・ミー・トゥー・ザ・リバー」観るサル(映画館篇)

JUGEMテーマ:映画

「約束の地、メンフィス テイク・ミー・トゥー・ザ・リバー」監督:マーティン・ショア 出演:テレンス・ハワード

 

 沢山のミュージシャンを生んだメンフィスで、メンフィス出身の大御所ミュージシャンが集まり、世代もジャンルも超えた様々なミュージシャン達とセッションを繰り広げて録音するプロジェクトを追ったドキュメンタリー。

 ニコニコと笑って抱き合い、再会を喜び出会いを喜ぶミュージシャン達のハッピーな姿に、観ているこちらまでニコニコしてきてしまう。

 若いミュージシャンのやることを良いねと笑って受け入れ、セッションではビシッと演奏を決めて見せる、大御所達の懐の深さが格好良い。

 チビッ子ラッパーや学生達を、ノリノリで褒めながら丁寧に指導し共に音楽を楽しむベテラン達の姿に、自分達が上の世代から音楽で導いてもらったように、自分達もまた次の世代へ音楽を繋げていくのだという責任感が感じられ、メンフィスという町で繋がった大きな家族のような絆にグッときた。

 この作品が完成するまでの間にも数人のミュージシャンがなくなってしまったということが切なく、このプロジェクトは彼らと若者達を繋ぐのに、ぎりぎり間に合ったのだなと思った。

| 観るサル(映画館篇) | 17:52 | comments(0) | -
「海辺の生と死」観るサル(映画館篇)

JUGEMテーマ:映画

「海辺の生と死」監督:堀川道夫 出演:満島ひかり 永山絢斗 井之脇海

 

 終戦間近の奄美・カゲロウ島(加計呂麻島をモデルにした架空の島)を舞台に、島の国民学校の教員・トエと、島に駐屯してきた特攻隊の隊長・朔中尉の恋を描く、小説「死の棘」で知られる作家・島尾敏雄とその妻・ミホの若き日をモデルにした、島尾ミホの同名小説と島尾敏雄のいくつかの小説を原作にした物語。

 島で伸び伸びと暮しているトエの中にある繊細さと、軍隊に居心地の悪さを感じている朔中尉の繊細さが響き合い、惹かれ合っていく。

 少女のような純粋さで真っ直ぐに朔中尉に向かっていくトエの激しさには圧倒されるけれど、その先の人生を知っているとついそこに狂気のカケラを見つけたような気にもなってしまい、儚い恋に命を燃やす2人の姿を、実は儚い恋でも儚い命でもないのだと知っていて見るのは、何だかちょっと残酷というか(誰も死なないに越したことはないのだけど)、妙な気分だな、と思った。

 朔中尉のことが大好きなトエの分身のような少女・ケコちゃんと、2人のことが好きで恋の手助けをしようとする朔中尉の部下・大坪の存在が良い。

| 観るサル(映画館篇) | 19:03 | comments(0) | -
「ダイ・ビューティフル」観るサル(映画館篇)

JUGEMテーマ:映画

「ダイ・ビューティフル」監督:ジョン・ロブレス・ラナ 出演:パオロ・バレステロス

 

 ミス・ゲイ・フィリピーナの女王になった直後に急死した、トランスジェンダーのトリシャ。望み通り日替わりのセレブメイク姿で旅立っていくトリシャの、葬儀までの7日間で語られる、ミスコンに情熱を捧げた波乱万丈な人生の物語。

 父親から勘当されたトリシャは、仲間達と共にミスコンを転戦して賞金を稼いで暮らしていくのだけど、そういうことができるくらい性別を越えたミスコンがあるということと、トリシャ達がママと慕うリーダーが優勝することがあるくらい年齢も越えた自由なコンテストであるというところが、ユニークで素敵だなと思った。

 しかし、そんな風にゲイやトランスジェンダーが社会に浸透していても、根強い差別も変わらずにあり続けているということが、やるせなくて胸が痛む。

 美人で姉御肌の面倒見が良いトリシャと、可愛くて妹分のようだけど実はずっとトリシャを助けて背中を押し続けてきた親友バーブスの、長い年月喜怒哀楽を共にして歩んできた関係の揺ぎ無さにほっとする。

 そして、2人とも本当にきれいで可愛かった。

 

| 観るサル(映画館篇) | 09:09 | comments(0) | -
「Good old boys グッド オールド ボーイズ」読むサル

JUGEMテーマ:読書

「Good old boys グッド オールド ボーイズ」本多孝好(集英社)

 

 とても弱いけれどどのチームよりもサッカーを楽しんでいる弱小サッカークラブの小学4年生チームが、初めての得点と勝利を目指して、彼らなりに奮闘していく物語。

 章ごとのタイトルがチームの子の名前になっていて、視点を変えながら物語が進んでいくのだけど、それぞれの物語の主人公がタイトルになっている子ではなくその父親というところがユニーク。

 子供達も一人一人個性的だけれど、その父親となるとさらにバラバラで共通点がなく、サッカーに興味がある人もいればない人もいるし、妻との関係がギクシャクしていることに悩む人もいれば、長男の引きこもりに胸を痛める人もいて、バラエティに富んだ話が楽しめる。

 大人の事情に子供が影響されることもあるけれど、子供達の成長も大人達を変えていく、じんわりと心が温まる爽やかな作品。

| 読むサル | 17:29 | comments(0) | -
「世界は今日から君のもの」観るサル(映画館篇)

JUGEMテーマ:映画

「世界は今日から君のもの」監督:尾崎将也 出演:門脇麦 三浦貴大 比留川游

 

 思い切って始めたアルバイトをクビになってしまった引きこもりがちな真実が、父親が探してきたゲーム会社でゲームの不具合を見つけるアルバイトを始めるが、ひょんなことから絵の才能を認められて人生が大きく動き出していく物語。

 冴えない女の子が王子様に隠れた才能を見出されるシンデレラ的なサクセスストーリーかと思いきや、真実を引きこもりから一足飛びに変化させるようなことはせず、彼女の成長を一歩一歩じっくりと丁寧に描いているところが良かった。

 特別な才能などなくても、無理に背伸びをしなくても、ちゃんと前に進んでいけるし、ちゃんと居場所も見つけられる。

 絵を認められるシーンよりも、バイト中に隣の席の人からお菓子をもらうシーンの方にグッときたりする、温かで説得力のある成長物語だった。

 

| 観るサル(映画館篇) | 17:54 | comments(0) | -
「歓びのトスカーナ」観るサル(映画館篇)

JUGEMテーマ:映画

「歓びのトスカーナ」監督:パオロ・ヴィルズィ 出演:ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ ミカエラ・ラマッツォッティ

 

 心を病んだ人々が暮らす施設で女主人のように振る舞うおしゃべりなトラブルメーカーのベアトリーチェが、新しく入所してきた刺青だらけで無口なドナテッラに惹かれてルームメイトになり、ひょんなことから2人で施設を抜け出してしまう物語。

 とにかく楽しい事が大好きで、その欲求のために平気で嘘をついてしまったり、行き当たりばったりな行動で周りの人達を振り回してしまったりするベアトリーチェが、身近にいたらイライラさせられそうな人間なのだけどなぜだかとても魅力的で、ハラハラしたり呆れたりしながらも惹き付けられた。

 成り行き任せの逃避行の中で2人は辛い過去とも向き合うことになるのだけど、2人の行動があまりにハチャメチャなためそれほど痛々しくはならず、正反対のようでどこか似ているデコボココンビのバディムービーのような感じで楽しめる。

 2人を追う施設の人達が、管理したり罰したりする存在ではなく、彼女達を信じて見守り助ける存在であるところが素敵だなと思った。

 

| 観るサル(映画館篇) | 17:44 | comments(0) | -
CALENDAR
S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< August 2017 >>
SPONSORED LINKS
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
日菓のしごと 京の和菓子帖
日菓のしごと 京の和菓子帖 (JUGEMレビュー »)
日菓(内田美奈子+杉山早陽子)
SELECTED ENTRIES
CATEGORIES
ARCHIVES
RECENT COMMENT
モバイル
qrcode
LINKS
PROFILE