観るサル 聞くサル 言うサル

最近観た映画や本についてのブログです。「観るサル」(映画館篇)では映画館で観た映画「観るサル」(家篇)ではテレビやDVDなどで観た映画「読むサル」では本について綴っていきます。
「潜入者」観るサル(家篇)

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「潜入者」監督:ブラッド・ファーマン 出演:ブライアン・クランストン 

 

 1980年代にコロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルの組織を壊滅に追い込んだ潜入捜査官ロバート・メイザーの、実話を基にした物語。

 いかに相手の信頼を得て上の人間に紹介させ組織の中心に入り込んでいくかという、正体がバレれば殺されるかもしれない命懸けの駆け引きが繰り広げられていくのだけど、冷静な切れ者としての活躍よりも、奥さんのためなのかポリシーなのか取引中の性的接待を断って仲間を怒らせたり、売人の家族を悲しませることに胸を痛めたりする、メイザーの人間臭い部分の方が印象に残った。

 潜入捜査なのだから最初から利用するために近付いた裏切ることが前提の関係なわけだけれど、距離が縮まれば職業が悪でも人間としては魅力的だったりイイ奴だったりして心が通い合うような瞬間もあり、親しくなって捜査が進めば進むほど、相手を裏切る度合いも大きくなっていくようで、ハラハラドキドキするよりも、切ない気持ちになる。

 特に、成り行きで悪人達の好意を利用することになってしまうクライマックスの作戦には胸が痛み、心が壊れる仕事だな、と思った。

 ぶつかり合ってきた相棒のシャレた一言に、少しだけ救われる気がした。

| 観るサル(家篇) | 18:52 | comments(0) | -
「最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常」読むサル

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「最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常」二宮敦人(新潮社)

 

 藝大生の妻が面白くて藝大に興味を持った著者が、東京藝大とはどんな場所なのかを探ったノンフィクション。

 全体的に普通じゃない世界である藝大を、タイプの違う美術学部(通称“美校”)と音楽学部(通称“音校”)を対比させるようにして描いているところが楽しい。

 何でも作ってしまう逞しさと自由過ぎる発想が普通じゃない美校と、生活の全てを音楽に捧げているようなストイックさと桁外れの必要経費が普通じゃない音校という感じだろうか。

 様々な学科の人達から話を聞いているのだけど、それぞれに背景も違えばやりたい事もやっている事も違っていて、こんなにバラバラで強い個性を持つ人達が同じ大学に集まっているなんて、藝大って不思議で面白い場所なのだろうな、と思った。

 しかし一番面白かったのは、著者の奥さんの何気ない日常のエピソードだったかもしれない。

 芸術家と暮すって、こんな感じなのか・・・。

| 読むサル | 19:04 | comments(0) | -
「羊の木」観るサル(映画館篇)

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「羊の木」監督:吉田大八 出演:錦戸亮 木村文乃 北村一輝 優香 松田龍平

 

 寂れた港町、魚深市の市役所職員・月末は転入者6名の面倒を見ることを命じられるが、実は彼らは国の極秘プロジェクトで市が受け入れた元殺人犯達で・・・。山上たつひこといがらしみきお共作の同名漫画を原作にしたサスペンス。

 6人を巡る不穏な空気を増大させる、おどろおどろしい町の奇祭が、どこか神話の世界のようでユニークだった。

 戸惑いながらも6人を受け入れ、自分の身に問題が降りかかってくると揺らいでしまう人間臭い弱さも見せつつ、それでも誠実に6人と向き合おうとする月末の、普通の人の普通の行動が物語を引っ張っていく。

 殺人犯が6人もいて、過剰防衛だったりヤクザの抗争だったりそれぞれに事情も人柄もちがうので、物語の結末もそれぞれに色々あって、単純に白黒つけるようなものにはならないところが、じわじわと考えさせられる余韻があって良かった。

| 観るサル(映画館篇) | 17:52 | comments(0) | -
「スリー・ビルボード」観るサル(映画館篇)

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「スリー・ビルボード」監督:マーティン・マクドナー 出演:フランシス・マクドーマンド

 

 町の外れにある3枚の広告看板に、娘を殺されたミルドレッドが「レイプされて死亡」「犯人逮捕はまだ?」「なぜ?ウィロビー署長」と広告を出したことから、ウィロビーを慕う差別的でキレやすいディクソン巡査を始めとする町の人々の反感を買い、怒りと憎しみがぶつかり合っていく物語。

 ウィロビーがガンで余命僅かと知っていながら広告を出し、息子のロビーが学校で嫌な思いをしても構わず闘い続けるミルドレッドは、凄い女で恐い女だけど、パンチの効いたユーモアの持ち主でもあって格好良い。

 そんな強気に見えるミルドレッドが時折見せる、娘を亡くしたことに対する深い悲しみと後悔に胸が痛む。

 ミルドレッドとぶつかり合いながらも彼女の非難を受け入れ、程良い包容力で物事に対処するウィロビーも魅力的で、彼のちょっぴり意地悪で粋なミルドレッドへの置き土産にやられた。

 むき出しの悪意がぶつかり合う様子にハラハラしながらも、人を信じたくなる希望も感じられる、濃密でスリリングな116分。

 ホッとさせてくれつつ、答えは観客に委ねられているラストが良かった。

| 観るサル(映画館篇) | 18:57 | comments(0) | -
「ワンダー」読むサル

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「ワンダー」R・J・パラシオ 訳:中井はるの(ほるぷ出版)

 

 顔に障がいを持って生まれ、体も弱く次々と手術を受けていたため学校に通ったことがなかった10歳のオーガスト。初めて学校に通うことになったオーガストと彼を取り巻く人々の、1年間の物語。

 オーガストの視点で描かれる章と、オーガストの姉・ヴィアやクラスメートのジャックなど周りの人達の視点で描かれる章が組み合わさって物語が進んでいくのだけど、その中に両親や先生など大人の視点で描かれる章がないところが、新鮮で良かった。

 大人の視点で描くと、誰々から見たオーガスト、というようにどこか客観的な物語になってしまいそうな気がするのだけど、ヴィアやジャックなど子供達(子供と言ってもそれなりの年齢の子もいるけど)の視点で描かれる物語は、大好きな弟のオーガストに複雑な感情を抱いてしまうようになった私の葛藤とか、オーガストと友達になったために大きな壁にぶつかる僕の戸惑いというように、様々な立場の当事者としての感情や体験が深く伝わってくる。

 そういう描き方のせいか、オーガストが大きな生き辛さを抱えているのは分かっているけれど、それでもオーガストだけが特別ではなく、どの子の存在も同じ重さに感じられた。

 そして、頭が良くてユーモアがあってイケてる男の子であるオーガストの、普通の男の子の部分もしっかりと感じることができた。

 

| 読むサル | 18:41 | comments(0) | -
「明るい夜に出かけて」読むサル

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「明るい夜に出かけて」佐藤多佳子(新潮社)

 

 大学を休学し、コンビニで夜勤のアルバイトをしながらラジオの深夜放送だけが楽しみであり心の支えのような生活を送る富山が、店に来たおかしな女子高生・佐古田に同じ番組のリスナーだとバレたことから、彼女のペースに巻き込まれて変わっていく物語。

 実在のラジオ番組が物語に深く絡んでいるところがユニークで、こんな世界があったのかと、そこに参加していた人達のことが羨ましくなる。

 色々な生活を送っている人たちが、深夜にそれぞれの場所で同じ番組に耳を傾け、ネタを送って番組を盛り上げたり、ツイッターで交流したりしている、一人ぼっちなのだけど沢山の人達と繋がっている、秘密基地に集っているような特別な時間。

 そんな深夜放送を鍵にした、夜のコンビニで出会った社会の片隅で自分の表現や生き方を探す若者達の物語は、夜が持つ温かさやワクワクさせてくれる空気を感じさせてくれた。

| 読むサル | 13:28 | comments(0) | -
「ロング、ロングバケーション」観るサル(映画館篇)

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「ロング、ロングバケーション」監督:パオロ・ヴィルズィ 出演:ヘレン・ミレン ドナルド・サザーランド

 

 末期癌の妻・エラと認知症の夫・ジョンが、おんぼろキャンピングカーで人生最後のバケーションの旅に出る物語。

 エラにとってこの旅は、文学教師だったジョンをずっと連れて行ってあげたかったヘミングウェイの家に連れて行く旅であり、2人で生きてきた時間を共に振り返る旅でもあるのだけど、肝心のジョンが色々な事を忘れてしまっているもどかしさと、時々昔のジョンが顔を出してもすぐ元の混沌としたジョンに戻ってしまう寂しさが、苦くて切ない。

 そんな2人の旅がしみじみと枯れたものになるかというとそんなことはなく、ジョンは、エラの昔の恋人のことだけは何故かしっかりと覚えていて嫉妬に駆られてはしばしば突然怒り出すし、エラは、ジョンが若いウエイトレスを相手に長々と喋り出すとムッツリ不機嫌になってウエイトレスを去らせようとするし、いくつになっても男と女という感じで、険悪な雰囲気になればなるほど、そんなに相手のことが好きなのかと感じられ、ちょっぴり呆れつつ感心してしまう。

 ラストは賛否両論あるかもしれないけれど、まあ、最後まで我が儘に愛を貫いた夫婦の物語、という感じかな。

| 観るサル(映画館篇) | 19:12 | comments(0) | -
「嘘を愛する女」観るサル(映画館篇)

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「嘘を愛する女」監督:中江和仁 出演:長澤まさみ 高橋一生 吉田鋼太郎 DAIGO

 

 5年間一緒に暮らしてきた恋人の桔平が突然倒れて意識不明で見つかった事がきっかけで、彼の名前も職業も存在を証明するもの全てが嘘だったと知った仕事一筋のキャリアウーマン・由香利が、探偵・海原の力を借りて桔平が何者なのかを追っていく物語。

 由香利は自己中心的でちょっと感じの悪い女性なのだけど、嫌な女というよりも、周りの人のことなど考えず目的に向かって突き進んでしまう、子供っぽい我が儘が抜けないまま大人になってしまった女性、という感じがした。

 駆け引きなしの猪突猛進タイプなので、そのなりふり構わない姿が時にはいじらしくも見える。

 そんな由香利に呆れたり腹を立てたりしながらも桔平の過去探しに付き合う海原との、近づいたり反発しあって離れたりを繰り返す関係が、デコボココンビというよりも、どこか父娘のように見えるところが面白かった。

 様々な桔平のカケラを辿って2人が辿り着く真実に、切ないけれど、ミステリーとしてもラブストーリーとしてもグッときた。

| 観るサル(映画館篇) | 19:02 | comments(0) | -
「何様」読むサル

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「何様」朝井リョウ(新潮社)

 

 就職活動中の若者達を描いた直木賞受賞作「何者」の番外編的な短編集。

 「何者」に登場した人物の高校時代や大学時代を描いた話もあれば、「何者」に登場した人物が脇役として登場する話もあるし、その話の誰が「何者」と繋がっているのかいまいちピンとこない話もあって、分かりやすい続編とかではなくバラエティに富んでいるところがユニークで、前作を読んでいるとより面白く感じられる部分もあることはあるけれど、独立した短編集として楽しめる。

 相変わらず痛いところを突いてくる胸がヒリヒリするような話が多いけれど、その痛みに柔らかなフォローがされていたり、開き直ってそのまま進んでいく強さが描かれていたりするので、読んでいて意外ときつくなく、後味も悪くなかった。

 「何者」を読んだ時に、これって「何者」というより「何様」って感じの話だなと思っていたので、今作のタイトルが「何様」だったのが、ちょっとおかしかった。

| 読むサル | 19:09 | comments(0) | -
「DESTINY 鎌倉ものがたり」観るサル(映画館篇)

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「DESTINY 鎌倉ものがたり」監督:山崎貴 出演:堺雅人 高畑充希 堤真一 

 

 人間と魔物や幽霊達が自然に共存する鎌倉で、年の離れた新婚夫婦・ミステリー作家の一色正和と妻の亜紀子が様々な騒動に巻き込まれていく、西岸良平の漫画「鎌倉ものがたり」の映画化。

 ホワホワとした雰囲気に最初は入っていきにくかったのだけど、様々な人物や魔物達が2人に絡んできて不思議が当たり前の日常が動き出したら、このおかしな世界を楽しめるようになってきた。

 警察の捜査に協力する正和が探偵のような活躍を見せるエピソードもあれば、老夫婦や貧乏神のほのぼのとしたエピソードもあり、黄泉の国に連れ去られた亜紀子を正和が取り戻しに行くファンタジックな冒険スペクタクルまである、様々なお楽しみが軽やかに詰め込まれたエンターテインメント。

 そして、様々なエピソードを通して、色々な夫婦の形を描いた作品でもあった。

 たぶん原作は大作タイプの作品ではないと思うので、映画よりも、一話ずつテイストを変えた連続ドラマとかで観てみたい気もした。

 

| 観るサル(映画館篇) | 19:03 | comments(0) | -
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